「公立病院改革ガイドライン」をめぐる最近の自治体動向

(090113 京都自治労連病院対策委員会)

総務省が「公立病院改革ガイドライン」(以下「ガイドライン」)を策定し、自治体に通知(2007年12月)を出してから約1年が経過しました。各自治体で、「ガイドライン」にもとづく「病院改革プラン」の作成など、具体化の動きが強まってきています。

都道府県が旗振り役をもとめられている「自治体病院の再編・ネットワーク化」の計画では、約20の府県がいまだ「検討中・未定」(総務省の9月末調査への回答)であり、地域からの批判や私たちの運動の反映とも言えると思います。京都府の回答も「未定」で、自治労連の申し入れにたいして、「改革プランは市町村が自主的につくるもので、支援要請があれば対応したい」「再編・ネットワーク化は難しい課題があり京都府としては慎重に考えている」と答えています。しかし総務省は、都道府県に計画の早期策定を求めてゆく方針を示し、最近では北海道に続いて岩手県が、自治体病院の診療所化や縮小・再編などの全県的な計画を打ち出してきていますので、京都での今後の動向に注意が必要です。

一方、各自治体での個別病院の「改革プラン」は、全国的にもほとんどのところが年度内に作成予定となっています。すでに地方財政健全化法での締め付けとも相まって、自治体病院の休止・廃止・民間譲渡・公設民営化や独立行政法人化など、「ガイドライン」の先取りとも言える動きが全国的に強まっており、これに対する運動が急速に広がっています。

京都では、京丹後市で、市立弥栄病院・久美浜病院の改革プラン(案)が作成され、パブリックコメント募集が昨年8月に実施されました。これは、「ガイドライン」での「財政誘導措置」としての「特例債」を申請するための期限(9月)に間に合わせるために作成されたものですが、府内自治体の個別病院の改革プランは、ほとんどが年度内策定の予定(総務省調査)になっています。すでに進行している、舞鶴地域4病院の再編・統合や、京都市立病院のPFI方式の導入と地方独立行政法人への移行などの動きに加えて、新たな問題が表面化してくる可能性がありますので、各自治体の動向に注意をし、情報を公表させ、地域医療を守り充実させる視点からの住民運動の対置が必要になっています。

この間の地域医療の崩壊といわれる事態の根本には、自公政権による構造改革路線のもとでの「医療・診療報酬制度の改悪などの医療構造改革」「三位一体改革や市町村合併の強要などの自治体構造改革」「医師・看護師養成の抑制政策」などがあり、この根本を変える国民的運動の強化が、地域医療と自治体病院の困難打開の上で不可欠になっています。これと併せて、当面の自治体の動きに対置した取り組みや、地域医療の充実をめざす提案づくりの運動などを、職場・地域から進めること重要になっています。


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20090113_公立病院改革ガイドラインをめぐる最近の自治体動向(090113)公立病院改革ガイドラインをめぐる最近の自治体動向(090113) (104KB)

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