2009・5・21 京都自治労連・病院対策委員会
総務省は、本年4月24日、自治財政局長名で、全国都道府県知事・政令指定都市市長あてに、「平成21年度の地方公営企業繰出金について」の通知を出し、この中で、自治体の病院事業に関する一般会計からの繰出し基準について、一定の改善を行うことを明らかにしました。(別紙資料参照)
その内容は、まず、「新規」の基準として、「公立病院に勤務する医師の勤務環境の改善に要する経費」をあげ、「国家公務員である病院等勤務医師について講じられる措置をふまえて行う公立病院に勤務する医師の勤務環境の改善に要する経費」のうちの一定額を繰出しの基準とすることを明らかにしています。これは、昨年度の人事院勧告での「医師の初任給調整手当の改善」や、国の平成20年度補正予算・21年度当初予算などで、病院等に勤務する医師への処遇改善が行われたことに対応する措置と考えられます。
また、従来から措置されていた、「不採算地区病院の運営に要する経費」「救急医療の確保に要する経費」の基準については、この内容を拡充するとしています。
これらの基準の改善は、今年度の「自治体病院運営等への地方交付税措置の改善」(別紙書記長談話参照)等をふまえた内容になっています。
今年度の「自治体病院運営等への地方交付税措置」は、この間の、私たちの「いのちと地域を守る運動」や、全国各地での地域医療と自治体病院を守り充実することをもとめる世論と運動の反映で、昨年度対比で約25%増と大幅な改善が行われました。
しかし、今年度の「交付税措置の改善」を、自治体病院への一般会計からの繰入金の増額に反映するためには、その根拠となっている国の「地方公営企業繰出金についての基準」についての改定が必要であり、自治労連はこの間の総務省交渉等で繰り返し基準の改善を要求してきました。また、自治体病院当局からも要望が上げられていました。今回の基準の改定はこうしたこの間の主張や運動が反映したものと言えます。
今後の取り組みとしては、当面、今回の基準改善を、病院への繰り入れの改善に具体的に生かすために、自治体当局への要求行動等を強めることが必要です。
また、今年度の「交付税措置の改善」のなかには、「小児病床・周産期病床・有床診療所への特別交付税措置」など、従来の繰出し基準の中で措置単価等が改善されているものがあるので、これらについても具体的な繰り入れに反映するよう求めて行くことも必要です。
一方、今回の国の交付税措置や繰出し基準の改定の中の「不採算地区病院」の規定変更で、特別交付税措置の対象から除外される病院が発生していますが、機械的な基準適用で従来より後退することがないよう措置することを国に求めることが必要です。
現行の国の「繰出し基準」については、新型インフルエンザ対策など感染症対策経費、診療報酬改悪の中で不採算医療としての性格が強くなっている「療養病床」維持のための経費をはじめ、いまだなお多くの課題が残されており、これらの改善にむけて引き続き取り組みを強めることが重要です。
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20090521_21年度公営企業繰出基準の改善について、コメント (67KB)
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