2010・1・13 京都自治労連・病院対策委員会
「丹後地域医療再生計画(案)」としているが、内容は、「京都府全域を対象にした医師・看護師定着対策」と、「丹後医療圏での医師等の確保・定着、救急医療等の4疾病5事業特別対策」の二つの柱になっています。中丹・舞鶴のような病院の再編・統合を伴うものではなく、医師等医療従事者確保と病診連携・病院間連携などを中心とした地域医療のレベルアップをめざすものになっています。
2008年秋に策定された京丹後市の「病院改革プラン」については、その時点で一定の検討メモ(別紙)を作成しましたが、それとの関連も含めて若干のコメントを行います。また、地域医療再生基金そのものについては、昨秋にコメントしていますので別紙を参照してください。
[1] 計画の柱は、医師数が人口10万人比で全国平均を上回っている京都・乙訓医療圏を除く5つの医療圏について、府立医大等と連携した医師確保対策を講じてすべての医療圏で全国平均水準まで引き上げることや、ITを活用した病診連携の促進などを上げている。事業費は10.5億円で、そのうち基金分は6億9千万円となっている。
[2] 事業の内容としては、府立医大での地域専門医療講座の開設、救急医療の専門医等の養成、ITを活用した病診連携システムの構築、在宅歯科医療サポートセンターの整備支援などの新規事業と共に、府立医科大学入学定員の「地域医療確保枠」の増員、医師バンクの対策強化、院内保育・病児保育施設の集中整備など、従来対策を拡充する事業などとなっている。
[3] これらは一定の効果が期待できるものもあるが、府財政の現状から見て、これらの対策によって、かねてよりの京都府の医師等確保対策の独自の予算が削減されることにならないか危惧され、また、新政権は来年度予算案で診療報酬の若干の引き上げを理由に、医師確保対策予算を半減しているので、これらを含めて今後の府の予算措置との関係を注視する必要がある。また、計画終了後に実施する事業についても、今後の府の予算措置との関係で検証してゆく必要がある。
[4] 従来より府の対策は府立医大への依存傾向が強く、今回の対策も、オール京都の医療力の結集という点では対策が不十分と考えられる。更に、丹後・舞鶴については、再生基金の関係で一定の計画が示されたが、府南部・口丹地域などその他の地域の医師確保等の具体的計画については示されていない。これらの改善を求める取り組みが必要になっている。
[1] 計画の柱は、厳しい医師不足に起因する医療過疎の克服、医療施設が少ないことによる4疾病・5事業対策の不足の解消を上げている。事業費は20・6億円で、そのうち基金分は18・1億円となっている。
[2] 具体的な施策では、「医師等の確保・定着特別対策」として、ふるさと丹後医療ネットワークの設置、高度医療研修・学会への参加支援、医師事務作業補助者や医療ソーシャルワーカーの養成、診療所開設・設備高度化特別支援、医師・看護師等の共同保育所・共同利用宿舎の整備、看護師復職特別講習等の実施などが上げられている。
[3] これらは一定の効果が期待できるが、共同保育所・共同利用宿舎等は、設置場所に与謝の海病院が上げられているのみであり、京丹後地域など身近で活用できる対策の具体化が必要になっている。また、丹後地域の現状から、診療所への特別支援は重要なことではあるが、同様の視点から、脳外科医療・精神科医療・小児科医療など、喫緊の課題に対しての具体的な対策が求められる。
[4] 「救急医療等の4疾病5事業特別対策」としては、与謝の海病院における「救急専門医の配置、遠隔画像診断システム・放射線治療室・感染症診察室の整備、高度医療機器等の共同利用センターの設置」、地域共同利用型電子カルテシステムの導入、訪問看護ステーションの緊急整備支援などとなっている。
[5] これらも地域の課題解決に一定の効果が期待できるが、全体として与謝の海病院の拠点病院機能の強化が中心になっている。拠点病院中心の病院再編に傾斜しないよう、また地域の医療実態に応じた対策が実施できるよう、地域の第一線医療機関の機能強化へ、支援を強める必要がある。
[6] 「京丹後市立病院改革プラン」との関係では、医師等の確保・定着対策、共同利用型の電子カルテシステムなどが関連すると考えられるが、実効ある支援となるのかどうか今後の検証が必要になっている。
20100113_丹後地域医療再生計画へのコメント (123KB)
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