2015年2月13日

原子力規制委員会による高浜原発の再稼働推進に抗議する

京都自治体労働組合総連合

 原子力規制委員会は2月12日、高浜原子力発電所3、4号機について、新規制基準に適合しているとの審査結果をだし、昨年12月の九州電力川内原発1、2号機につづき再稼働への道を開きました。

 政府は昨年4月に策定した「エネルギー基本計画」において、原子力規制委員会の新規制基準に適合した場合には、再稼働を進めるとの方針を明らかにしており、原子力規制委員会が政府と一体となって再稼働をすすめようとする暴挙といえます。

 新規制基準は原子力規制委員会自身が、「これを満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではありません」と明確に述べているように、原子力発電所の安全性を含め、事故時の住民の安全を保障するものでないことは明らかです。

 また新規制基準自体に重大な問題点があることは、すでに数多く指摘され、それらにいっさい答えることなく適合するとの結論を出したことは重大な問題です。

 新規制基準では、欧州の加圧水型原子炉の基準で定められている、?コアキャッチャーや格納容器熱除去設備の設置、?航空機衝突などに耐える格納容器の二重化、?系統設備の独立した多重化(新規制基準では2系統)などの安全設備をそもそも必要としていません。「世界で最も厳しい水準」といえないことは明らかです。しかも、従来の審査で条件とされた「原子炉立地審査指針」などの重要項目が基準から除外され、現存する原発を想定し、再稼働することを前提とした新規制基準となっています。

 50数?の距離に14基の原子炉が集中立地されている若狭の原発群において、同時並列、連続で事故が発生することを全く想定しないこと、高浜原発が危険なMOX燃料使用を前提としているにもかかわらず通常のウラン燃料使用の原子炉と同様の審査内容となっていることなど重大な危険性をはらんでいます。

 更に重大なのは、周辺地域における原発事故時の防災避難計画を新規制基準の審査対象としていないことです。京都府は立地自治体以外にPAZ圏を含む唯一の自治体です。福島原発事故の経験からも、原発事故による放射能被害は市町村、都道府県、国境を超えて広範囲に拡大し、避難者の受入れも全国全ての自治体に及ぶことは明らかです。避難計画と受け入れ計画は、国が責任をもって策定しなければならないのは明らかです。

 京都府と高浜原発UPZ圏の7自治体が独自に策定する避難計画は、その実効性、実現可能性、妥当性について審査、検証をする体制すらありません。

 現状は、避難計画に対して国は直接関与しない、計画内容の審査もしない、国が行うのは自治体に対して、助言、指導、勧告をするだけという全く無責任なものとなっています。

 このように住民の命とくらしを守ることに何ら責任を持とうとしない国と原子力規制委員会の対応にたいして、再稼働は「専門家である原子力規制委員会が安全性を確認して、国の責任において判断される」、「必要な手続きがすめば認める」などという対応は、自治体としての責任を放棄するものと言えます。

 地方自治法は「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」と定めています。

 原子力に関する諸法令は、国が一元的に規制・監督するものとなっています。であればなおのこと私たちは、憲法と地方自治法の立場から高浜原発の再稼働に反対し、国と規制委員会、関西電力の暴挙に強く抗議するものです。