【声明】 原発再稼働を認める福井地裁の不当決定に抗議する!

2015年12月24日 
京都自治体労働組合総連合 

 福井地裁(林潤裁判長)は12月24日、今年4月14日に福井地裁(樋口英明裁判長・当時)が行った高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じる仮処分決定を不服として関西電力が申し立てた異議を認め、仮処分決定を取り消した。また、並行して審理をすすめていた大飯原発3、4号機の再稼働差し止め仮処分についても、住民の主張を却下した。

 取り消された仮処分決定は、関西電力の安全対策の不備や新規制基準の不合理性を指摘し、人の生命を基礎とする人格権こそ最高の価値を有するもので「高浜原発から250キロ圏内の居住者は原発の運転で直接的に人格権が侵害される危険がある」として再稼働差止めを命じたもので、林潤裁判長は異議審で、原発の新規制基準を合理的と判断し、「安全性に欠ける点があるとは言えない」と再稼働を認めた。

 今回の福井地裁の判断は、政府の再稼働推進方針や電力会社の主張に追随する不当なものであり、断じて認めることはできない。

 関西電力は、現在、再稼働に向けた最終手続きとなる使用前検査中の3号機に、25日にも燃料を装荷し1月下旬に再稼働、4号機には1月下旬に燃料を装荷し、2月下旬に再稼働することを計画しており、事態は極めて緊迫している。

 福井県では、住民の反対の声があるもとで、すでに高浜町議会と町長、福井県議会と知事も再稼働に同意を表明しているが、原子力防災計画で避難対象となる30km圏内の人口だけに限ってみても、福井県の5万4403人に対して、京都府では舞鶴市をはじめとして12万5085人であり、ひとたび過酷事故が起これば、京都府民が最大の被害を受ける可能性が高い。

 差し止めの仮処分は取り消しされたが、「新規制基準自体が安全を保証するものでない」ことは規制委員長自身が繰り返し認めていることであり、福島の現状を見ても、原発事故から5年が経過するにもかかわらず、11万人を超える避難者、2000人にも及ぶ原発関連死、子どもの甲状腺がんや健康被害のひろがりなど、ひとたび原発事故が起これば取り返しのつかない被害が広範囲かつ長期間にわたってもたらされ、人格権が侵害されることは明らかである。

 私たちは、住民の命と安全、暮らしを守る責務を担う自治体労働組合として、本日出された福井地裁の不当決定に抗議するとともに、京都府知事に対し、府民の命を守るために、今こそ原発再稼働反対の立場を表明することを強く求めるものである。

 また、関西電力と政府に対し、高浜、大飯をはじめすべての原発再稼働の中止を求めるものである。 

以上