【声明】

関西電力高浜原発の再稼働強行に断固抗議する!

2017年5月17日  
京都自治体労働組合総連合  

 関西電力は、本日5月17日午後5時、高浜原発4号機の原子炉を起動した。5月22日にも発電・送電を開始し、6月中旬にも営業運転を再開するとしている。また、同3号機についても、6月上旬の原子炉起動、7月上旬の営業運転再開をめざし、昨日16日、燃料装荷作業を終了した。なお、両機ともより危険なMOX燃料(プルトニウム・ウラン混合酸化物)を使用するプルサーマル発電である。

 私たちは、福島の原発事故の教訓もふまえず、立地・周辺自治体の不安や多数の国民の声も無視した再稼働強行の暴挙に、満身の怒りを込めて抗議する。

 高浜原発4号機は昨年2月26日に再稼働したものの、わずか3日後に原子炉が緊急停止した。3号機は新規制基準施行後、九州電力川内1、2号機に次いで、昨年1月29日に再稼働したが、大津地裁の高浜3、4号機の運転差し止め仮処分決定により、昨年3月10日、運転中の原発としては全国で初めて司法判断により停止していた。しかし、大阪高裁が、今年3月28日、ほぼ関電側の主張に沿って、「新規制基準は合理的」「関電の安全対策は新規制基準に適合している」「新規制基準が不合理だと立証する必要は住民側にある」などとして、大津地裁が出した仮処分決定を取り消し、運転再開を認める決定を行ったことにより、運転停止中の原発の再稼働準備が進められてきた。私たちは、政府、電力会社ばかりか、司法まで追随した「新たな安全神話」に基づく原発再稼働強行を断じて認めることはできない。

 「新規制基準自体が安全を保証するものでない」ことは原子力規制委員長自身が繰り返し認めていることである。また、避難計画についても、昨年8月に京都府が国や滋賀、福井、兵庫の各県と合同で行った避難訓練でも明らかになったように実効性・安全性に乏しく、住民からは「実行できそうもない避難計画しかない現状での原発再稼働は納得できない」との声が上がっている。

 福島の現状を見ても、政府も規制委員会も電力会社も責任を取らず、事故から6年が経過したにも関わらず原因究明も事故収束の見通しも立っていない。また、原発関連死、子どもの甲状腺がんや健康被害のひろがり、強制帰還政策とも言える避難指示解除の強行など、ひとたび原発事故が起これば取り返しのつかない被害が広範囲かつ長期間にわたってもたらされ、人格権が侵害されることは明らかである。

 原子力防災計画で高浜原発事故の避難対象となる30km圏内の人口を見ても、福井県の5万2,169人に対して、京都府では舞鶴市をはじめとして12万2,920人であり、京都府民が最大の被害を受ける可能性が高い。また、関西1,450万人の水瓶である琵琶湖が放射能に汚染されれば、市営水道の100%の水源を琵琶湖に頼る人口約147万人の京都市を始め、多くの自治体が人の住めないまちになる恐れがある。

 私たちは、住民の命と安全、暮らしを守る責務を担う自治体労働組合として、高浜原発再稼働強行の暴挙に抗議するとともに、京都府知事をはじめ府内すべての自治体首長に対し、住民の命を守るために、今こそ原発再稼働反対の立場を表明することを強く求めるものである。

 また、関西電力と政府に対し、高浜、大飯をはじめすべての原発再稼働の中止を求めるものである。 

以 上