【声明】住民のいのちと暮らし、基本的人権を守る自治体本来の役割放棄はあってはならない

2018年11月30日
京都自治体労働組合総連合
執行委員長 福島 功
京都府職員労働組合総連合
執行委員長 森 吉治
京都市職員労働組合   
執行委員長 小林竜雄

一、京都弁護士会が11月18日に開催した「第48回憲法と人権を考える集い」において、例年共催してきた京都府が「政治的中立性の確保が厳しい」ことを理由に共催を降りる事態が起こった。集いは、1971年に始まり、府が共催、京都市や府内の全市町村が後援を行ってきた。今回の府の共催辞退は、府内の自治体に大きな影響を与え南丹市、京丹波町、大山崎町以外のすべての自治体が後援を取りやめる、もしくは、見送るという事態に至った。

 今回の集いは、自民党の改憲草案や安倍政権がすすめる憲法改正について批判的見解を行ってきた憲法学者の木村草太氏が「憲法の未来」と題して記念講演を行った。大学の教授など研究者が、自説を述べるのは当然のことであり、それによって政治的中立性の確保が難しいというのは、「偏っている」との批判をかわすとともに安倍政権への忖度以外の何物でもない。また、公務員は「憲法を尊重し擁護する義務を負う」と規定した憲法99条にもとづき共催してきたこれまでの府の行政姿勢から考えても重大である。

一、京都市が、自衛官の募集に協力するため、18歳、22歳の市民の個人情報をこれまでの閲覧に変えて宛名シール約1万人分を住民基本台帳データに基づき作成し、来年1月から自衛隊に提供することを決めた。京都市は、適齢者情報の提供は法定受託事務であること、住民基本台帳法第37条1項が「資料の提供を求めることができる」と規定していること、従来と取り扱いが大きく変わるものではないことを提供の根拠としているが、国会での答弁でも、法定受託事務だが応じるかどうかは市町村の判断であることが繰り返し確認されていること、また、専門家からは、住民基本台帳法第37条1項が想定する「資料」には、氏名や住所という個人情報は含まれず、提供する法的根拠はなく違法の疑いがあると指摘されていること、結果、20政令指定都市中、紙媒体での情報提供が2市にとどまっていることが、各自治体が慎重な対応をしていることを示している。

 個人情報の極めて重要な事項である氏名や住所を明確な法的根拠なしに提供することは認めらないばかりか、安保法制(戦争法)によって海外での武力行使が可能となった自衛隊の入隊を促すことは、市民を戦場に送り出し、いのちを危険にさらすことにつながるものであり、京都市はこのような業務に協力すべきではなく、自衛隊への住民基本台帳情報の提供方針を撤回することを求めるものである。

一、南丹市が11月24日に予定していた、「京都丹波子育て応援フェスタ2018」(主催:京都府南丹保健所・京都府家庭支援総合センター・亀岡市・京丹波町・南丹市でつくる実行委員会)での香山リカ氏(精神科医)の講演を突然中止し、講演者を急きょ交代させた。

 報道によると、今月15日以降、市の子育て支援課に「香山さんをよく思わない連中が集まるだろう」などの抗議が電話で5件、来庁で1件あったとされ、南丹市は「会場の混乱を避けるためにやむを得ず、講師の差し替えを行った」としている。

 今回の香山氏の講演は、「子どもの心を豊かにはぐくむために一精神科医からのアドバイス」と題したもので、子どものメンタルや子育て中の母親のメンタルに関するものを予定していた。

 南丹市によると来庁した男性は右翼関係者とのことであり、電話の内容も含めて抗議というより、暴力をちらつかせて脅し恫喝してきたと思われ、それに屈服して講演を中止することは、憲法で保障された言論の自由に対する自殺行為以外の何物でもない。南丹市は、法的措置も含めて毅然と対応すべきである。

一、自治体の立脚点は明らかである。地方自治体は、憲法で国民に保障された基本的人権を地域で具体化すること、様々な施策を通じて住民のいのちと暮らしを守ることを最大の目的としている。そして憲法で公務員は、「憲法を尊重し擁護する」ことを義務としている。

 私たち京都府内の自治体で働く者でつくる労働組合として、今回起こった住民のいのちと暮らし、基本的人権を守る役割を放棄したこれら府内自治体の動きに警鐘を鳴らし、「憲法を尊重して擁護する」義務を果たすとともに、憲法で保障された住民の基本的人権を擁護する自治体本来の役割発揮を強く求めるものである。

以上