戦争する国家づくりに突きすすむ
岸田内閣による安保3文書の閣議決定に抗議し直ちに撤回を求める
2022年12月18日
京都自治体労働組合総連合
執行委員長 福島 功
岸田内閣は、12月16日、安保3文書「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の改定を閣議決定した。相手国領内への「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の保有を初めて盛り込むなど、憲法の恒久平和主義に基づく戦後日本のあり方を根本から変え、日米軍事同盟を一層強化し「戦争する国家づくり」へ突き進むものであり、断じて認めるわけにはいかない。京都自治労連は、立憲主義を踏みにじる暴挙に対して満身の怒りを込めて抗議するとともに、直ちに撤回することを求めるものである。
3文書では、相手国のミサイル発射拠点などを直接たたく敵基地攻撃能力について、「反撃能力を保有する必要がある」と明記した。戦後一貫して、他国を攻撃できる兵器の保有は「憲法の趣旨とするところではない」としてきた政府見解を根本から覆すもので憲法違反である。同時に、「反撃能力」は「平和安全法制に際して示された武力の行使の三要件」を満たせば行使できるとし、安保法制(2015年成立)で可能になった集団的自衛権の行使の際にも発動することを明確にした。これによって、米国が始めた戦争で、日本が武力攻撃をまったく受けていなくても、自衛隊が米軍を支援するため、相手国領内に敵基地攻撃をすることが可能となった。政府が掲げてきた「専守防衛」を完全に大転換するものである。
こうした攻撃能力を持つために、世界第3位に相当する軍事費のGDP2%を実現するとし、今後5年で総額43兆円程度と明示した。そのために、本来、東日本大震災からの復興のための「復興特別所得税」やコロナ禍のもとで公的医療のための国立病院機構や地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金を流用するとともに、防衛増税を打ち出した。長期化するコロナ禍に異常な物価高が追い打ちをかけ、国民生活への支援が求められているにもかかわらず、国民のいのちと暮らしのための財源を軍事に振り向け、さらに国民に負担を強いる暴挙である。軍事大国化が貧困大国化につながるものであり認めるわけにはいかない。
岸田内閣は、「平和国家」として歩んできた国の姿を根本から変える決定を密室で協議し、まともな国会審議や国民の審判もないまま強行した。民主主義の破壊を許してはならない。さらに3文書の最上位文書である「国家安全保障戦略」は、「平素から国民や地方公共団体・企業を含む政府内外の組織が安全保障に対する理解と協力を深める」としており、平時から国民、自治体、企業を有事の際に活用できるようにし、自治体と自治体職員、国民を総動員する体制に組み込むことにつながる危険なものであり、断じて認めることはできない。
戦後、自治体労働運動は「二度と赤紙(召集令状)を配らない」の誓いから出発した。京都自治労連は、自治体労働者が戦争推進の役割を担わされた痛苦の歴史を繰り返さないためにも、岸田内閣の暴走を許さず、住民との共同を広げ、安保関連3文書の閣議決定の撤回を求め奮闘するものである。
以上