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=08年人事院勧告にあたって= 
  政府の総人件費抑制政策に追随する「ベアゼロ」勧告を許さず、
貧困の根絶と格差の是正、生活危機突破のたたかいを強めよう!

2008年8月11日  
京都自治体労働組合総連合  

1.人事院は本日(11日)国会と内閣に対して、一般職の国家公務員の給与等に関する勧告・報告を行った。

今回の勧告をめぐっては、いったん7日勧告という日程が公表されたにも関わらず、前日になって突然「首相の日程上の都合」という「官邸側の事情」により日程が変更されるという、現行の勧告制度が始まった1960年以来初めての事態が起こった。この事実だけをみても、「人事院勧告を尊重」するとしながらこれを軽視する首相と官邸の姿勢が現れており厳しく抗議する。また、真偽のほどは定かではないが、延期の理由として勧告内容への介入があったとも伝えられており、労働基本権制約の代償措置であり中立・第三者機関への介入が事実であるとすれば、あってはならないことであり断じて許しがたい。

さて、今回の勧告内容だが、人事院は、民間調査による月例給の官民較差は極めて小さい(0.04%、136円)として月例給の改定を見送るとともに、一時金についても官民の支給月数(4.50月)は概ね均衡しているとして改定を見送った。また、今年度の焦点になっていた住居手当の見直し(自宅に関わる手当の廃止等)については来年度廃止に向け検討とした。

給与構造改革関連では、?本府省業務の特殊性・困難性などを理由に「本府省業務調整手当」(本府省の課長補佐9.44%、係長4%、係員2%)を新設(経過措置有)、?地域手当の支給割合について、暫定支給割合を定める、?新たな人事評価制度の導入に伴う評価結果の給与・一時金への反映や降級・降格の仕組みの整備など、09年度に実施する事項として勧告した。?また、給与構造改革期間終了時点で、これまでの改革効果を検証し、引き続き地域間での配分の在り方や能カ・実績主義の推進の観点からの見直しを検討すること、加えて65歳までの段階的定年延長を中心に検討し、あわせて60歳前も含めた給与水準・体系の在り方について検討する旨を報告の中で言及した。

非常勤職員の処遇に関しては、「非常勤職員の給与決定の指針」を策定し発出するとともに、休暇及び健康診断の在り方についての検討、任用形態・勤務形態の在り方などについて幅広く検討を進めていくことが必要と言及した。

所定勤務時間の見直しについては、過去5年間の民間調査の結果を踏まえ、09年度から職員の勤務時間を1日当たり7時間45分、1週間あたり38時間45分に改定するよう勧告した。

公務員人事管理関係については、国家公務員制度改革基本法が制定されたもとで、人事院の基本認識について報告の冒頭で言及するとともに、具体的な課題として、?採用試験の基本的な見直し、?幹部要員の確保・育成、?新たな人事評価制度の導入と評価結果の活用、?超過勤務の縮減、?両立支援の推進、?心の健康作りの推進、?高齢期の雇用問題を中心とした退職管理などについて言及を行った。

2.08年人事院勧告の特徴と問題点

第1の問題は、官民較差がわずかであるとして、俸給も一時金も改定なしの2年ぶりの「ベアゼロ勧告」を行ったことである。08春闘での民間の賃上げ状況は、大手も中小企業も前年をわずかながらも上回り、4年連続での微増傾向となった。また、この間の燃料や食料品価格など諸物価高騰にともなう生計費の増加という状況からいえば、少なくとも昨年を上回る賃上げは当然である。こうしたもとでの「ベアゼロ」勧告は、この間の最賃引き上げや民間の賃金引上げの流れにも水をさす不当なものと言わざるを得ない。

人事院は一昨年、総人件費抑制をすすめる政府の圧力に屈し、比較企業規模の100人以上から50人以上への見直しを強行したが、今年もそれを踏襲し、さらに「50人以上100人未満」の比率を高めており、水準の引き下げに一定の影響を与えていることは明らかである。「民間準拠」に固執し賃金を抑制するのではなく、諸物価高騰のもとで生計費を重視した賃金引上げこそ実施すべきである。

第2に、新たな人事評価制度の施行を前に、評価結果の給与等への反映のための法整備を打ち出したことは重大な問題である。この間、業績・成果主義賃金制度は、労働者の働く意欲を後退させ、「ギスギスした職場」をつくりだし、「心の病」を急増させるなどの弊害が指摘され見直しがすすめられており、厚生労働省の08年版「労働経済白書」でも問題を指摘しているところである。また、公務職場への導入は国民の人権保障を担う公務労働そのものをゆがめるものである。

第3に、一方で「ベアゼロ勧告」を押しつけながら、本府省の職員のみに「本府省業務調整手当」の新設を行ったことも不当である。地域手当とも合わせて、中央官僚を優遇し、中央、地方の格差をいっそう広げるものであり到底容認できない。本府省の業務の特殊性・困難性や人材確保の困難性が強調されているが、抜本的な業務の見直し、超勤の縮減や不払い残業の根絶こそが求められている。

第4に、私たちの要求と運動を反映し、自宅に関わる住居手当について今年度の廃止を見送ったことは重要だが、「来年の勧告に向けて廃止を検討」としたことは問題である。また、ガソリン代の高騰などのもとで交通用具使用者の通勤手当の改善について見送られたことも問題である。

第5に、非常勤職員の処遇改善に関して、貧困と格差是正、官製ワーキングプアの解消をめざす私たちの運動を反映し、「指針」を策定し勧告後に通知するとさせたことは、改善への第一歩として重要である。しかし、時給水準について初任給ではなく職種に対応する俸給表の1級初号(行?で時給約780円)を基礎としていることや、昇給制度、退職金制度がないことなど、均等待遇には程遠い内容となっている。今後、非常勤職員のあり方については、任用や勤務形態も含め幅広く検討していくこととされており、均等待遇の実現にむけて抜本的な改善を求めるものである。

第6に、勤務時間の短縮については民間調査の結果からも職場要求からも当然である。なお、「15分の時短は3%の賃上げ」などの意図的な分断攻撃もあるが、働き方の見直し、働くルールの確立は社会的な要請となっており、実効ある長時間労働の改善や不払い残業の根絶などとあわせ、すみやかに実施を求めるものである。

3.貧困根絶と格差是正、生活危機突破、働きがいのある職場・賃金・労働条件めざし、秋期年末闘争をたたかおう

08人勧に向けては、この間、職場からの「賃金改善署名」の取り組みをはじめ、2次にわたる中央行動、近畿人事院事務局包囲行動・交渉への参加、京都府・市人事委員会への申し入れなどを実施し、最低賃金の改善や公契約の推進の運動などとも結合してたたかいをすすめてきた。

08人勧が出されたもとで、職場からの学習を重視し、京都府・京都市人事委員会への要請などを強めるとともに、あらためて「貧困根絶と格差是正」、生活危機突破の国民的な運動と職場からの要求実現をめざす運動を結合し、労働組合の組織強化・拡大とも結合してたたかいをすすめることを呼びかけるものである。

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