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トップ  >  京都自治労連の声明、委員長・書記長の談話  >  【声明】2023年人事院勧告に対する声明 月例給・一時金引き上げも、物価高騰に追いつかない低額勧告…「すべての労働者の賃金引き上げ」をめざし、2023年秋季年末闘争に全力を! [2022.8.9]

2023年人事院勧告に対する声明

月例給・一時金引き上げも、
物価高騰に追いつかない低額勧告
「すべての労働者の賃金引き上げ」をめざし、
2023年秋季年末闘争に全力を!

2023年8月7日
京都自治体労働組合総連合

1.物価高騰に追いつかない2023年人事院勧告

人事院は8月7日、国会と内閣に対して、2023年人事院勧告・報告を行った。23春闘における賃金引き上げを一定反映し、2年連続で月例給を引き上げ、一時金を改善したものの、物価高騰に遠く及ばず生活改善にはほど遠い低額勧告と言わざるを得ない。

勧告・報告の概要は、(1)官民較差が3,869円(0.96%)であることから、総合職・一般職の大卒初任給を11,000円、一般職高卒初任給を12,000円引き上げ、若年層に重点を置き、そこから改定率を逓減させる形で全ての職員について改定、(2)一時金は0.10月(再任用職員0.05月)引き上げ、年間4.50月(同2.35月)とし、期末手当と勤勉手当で引き上げる、(3)新たに在宅勤務手当(月額3,000円)を新設し、通勤手当の取扱いについてあわせて措置、(4)非常勤職員の賃金・労働条件について言及なし、(5)長時間労働の是正に向けて、業務量に応じた定員の確保を担当部局に要請、(6)柔軟な働き方を一層促進するため、フレックスタイム制を活用した「選択的週休3日」を一般の職員に拡大、「勤務間インターバル」の検討、夏季休暇取得期間の拡大・年次休暇の15分単位使用などである。

また、社会と公務の変化に応じた給与制度の整備(給与制度のアップデート)については、報告で2024年に向けて措置を検討する事項の骨格として、(1)人材確保への対応、(2)組織パフォーマンスの向上、(3)働き方やライフスタイルの多様化への対応の3 つの課題を示し、これらの課題に関連する俸給や諸手当等の見直しについて、2024 年に向けて必要な措置を検討するとした。

2.2023年人事院勧告・報告の問題点

2023年人事院勧告・報告は、異常な物価高騰にあえぐ公務労働者の生活実態から目を背け、労働基本権制約の代償機関としての役割を放棄し、政府の公務員総人件費抑制政策を推進する立場からの勧告・報告ある。

(1)23国民春闘において、「すべての労働者の賃上げで景気の回復」にむけ官民一体でたたかった結果を反映して、2年連続で月例給・一時金とも引き上げを勧告した。

しかし、1%に満たない引き上げ額では、この間の物価高騰に追いつかず、政府がいう「物価上昇を超える賃上げ」や公務労働者の生活改善からほど遠いものである。民間の春闘結果を大きく下回る水準となった今年の勧告は、人事院勧告制度の矛盾と限界を示したものと言わざるを得ない。人事院は、実質賃金が減少し続けている事態に対応すべきであり、生計費原則に基づく大幅な賃上げを行うよう強く求めるものである。

(2)5年ぶりにすべての号俸を改定したものの、実質賃金の低下は、全世代にわたるものであり、若年層の給与改善ととともに、とりわけ世帯の生計を担う傾向にある中高齢層の生活改善が深刻な課題となっている。中高齢層が在職する号俸の改定率を逓減させることは容認できない。中高齢層の生活と労働の実態を踏まえ、生計費原則と職務給原則を重視し、俸給表全体を改定するとともに、全世代の生活改善につながる給与水準を確保することを求める。

今回の勧告で高卒初任給を12,000円引き上げ、月額166,600円とした。しかし国家公務員ベースでの時間単価は地域手当非支給地で993円と、今年の京都の最低賃金目安額1,008円や全国加重平均の1,002円に満たない水準にとどまっている。公務への人材確保の観点からも、抜本的な改善が急務である。

(3)一時金を引上げ、さらに期末手当にも配分するとしたものの、職場や組合員の期待に見合った水準とは言えない。同時に、人事院は成績主義強化の姿勢を変えておらず、そもそも一時金に考課査定を入れること自体、生活給としての一時金の性格を薄め、職場に分断を持ち込むものであり、容認できない。再任用職員の支給月数は、再任用職員の職務・職責が定年退職以前からほとんど低下していない実態を重視し、常勤職員との均等・均衡待遇を早急に実現することを求める。

(4)在宅勤務で発生する自宅の光熱費や水道代といった負担を補助する「在宅勤務等手当」が新設された。

しかし、示された要件では、1 か月当たりの光熱・水道費すら賄えないばかりか、通勤手当の減額などに見合った水準とも言えない。通勤手当の取扱いも含め、当事者たる労働組合の意見をふまえた納得と合意が大前提である。一方、ガソリン代が高騰する中での通勤手当の改善や再任用職員と非常勤職員の生活関連手当の支給などは「ゼロ回答」であり、人事院の責務放棄であるといわざるを得ない。

(5)報告では、「非常勤職員制度の適切な運用の在り方の検討」を行うとしたものの、雇用の安定や病気休暇の有給化など、早急に措置すべき課題の解決が行われなかったことは問題である。「3年公募要件」の撤廃や「無期転換ルール」の創設など、雇用の安定の実現と労働者としての地位と権利を早急に保障することを強く求める。同時に、正規職員の一時金引き上げが勧告されたもとで、期末手当の引き上げは言うに及ばず、会計年度任用職員など非正規職員についても均等待遇実現の見地から同様の措置を講じるべきである。

(6)「給与制度のアップデート」については、「令和6 年に向けて措置を検討する事項の骨格」を提示するとし、個別具体的な措置や全体像も不明確なまま、2024 年に先送りした。あらためて、すべての職員が安心して働き続けることができる給与制度の実現に向けた、労働組合との合意を前提とした真摯な交渉・協議を求めるものである。

(7)人事管理に関する報告では、公務人材の確保のため、「民間と公務の知の融合」として民間から積極的な登用を志向している。しかし、報告で指摘するように国家公務員を選ばなかった理由に超過勤務の多さがあり、超過勤務を縮減して「負のイメージの払拭」をするには、定員・人員を確保して、職員を大切にする賃金・労働条件を確立することが不可欠である。公務の魅力を高めるためにも、直ちに職員増と時間外上限規制の厳格な運用を実現すべきである。

(8)働き方については、「選択的週休3日」や夏季休暇取得期間の拡大、年次休暇の15分単位使用が示された。職場のニーズにも一定適合するとはいえ、職場が求めているのは、確実な業務遂行と長時間労働の解消、休暇等の権利が行使できる人員確保にほかならない。人員不足の解消の早急な解決を求めるものである。

3. 全組合員の力を集めて23秋季年末闘争に全力を!

国民・労働者の生活は、引き続く実質賃金の低下や物価高騰、地域経済の疲弊などで、悪化の一途をたどっている。国が、景気回復のために直接打てる有効な手立ては、最低賃金の大幅引き上げと公務員賃金の大幅引き上げにほかならない。政府の責任として「物価上昇を超える賃上げ」を求めるものである。今後、京都府・京都市の人事委員会勧告にむけて、国人勧への追随を許さず、公務員賃金が持つ社会的役割を明らかにして、「すべての労働者の賃上げ」の実現をめざす運動を官民総がかりで推進する。

23秋季年末闘争は、9条改憲や「戦争する国づくり」を許さず、8時間働けば人間らしいくらしができる賃金・労働条件の実現、「公共を住民の手に取りもどす」運動の推進、消費税減税と社会保障の拡充、民主的自治体建設と政治の変革などの運動を大きく広げなければならない。

23賃金確定闘争では、生計費原則に基づき、生活改善できる賃金の引き上げ、会計年度任用職員の処遇の抜本的改善、実効性ある時間外労働上限規制と長時間労働解消、人員増、ハラスメント防止対策の充実など、職場で奮闘するすべての職員とその家族のくらしを支え、安心して働くことができる賃金・労働条件の確立にむけた運動を強めることが必要である。

23賃金確定闘争での要求の前進に向け、職場を基礎に全組合員の行動参加を追求するとともに、すべての取り組みを組織の拡大強化につなげ、全単組で増勢が実現できるよう大いに奮闘しよう。

京都自治労連は、自治労連に固く結集し、単組・組合員の皆さんと力をあわせ23秋季年末闘争を全力で推進するものである。

 

 

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