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(資料) 自治体病院の「統合・再編」「運営形態の見直し」に関する動きから

(検討資料、2008/12改訂版 京都自治労連・病院対策委員会)

(1)統合・再編・ネットワーク化・・・岩手県釜石市・山形県置賜地域

? 「釜石市民病院と県立釜石病院の統合」の名のもとに市民病院を廃止する計画が強行されたが、市民病院の医師は県立釜石病院には1人も移行せず。県・市当局が口実にした「人的資源の集約」も「医療資源の有効活用」も不可能となり、市民病院の廃止だけが実行されたことに。結果、県立病院は救急患者等が集中し外来も大混雑。県立病院長も「市財政は救われたかもしれないが病院統合は成功とは言えない」と。

? 山形県置賜地域では、県と二市二町が2000年に、既存の3病院1診療所を縮小再編して一つの基幹病院を設置。既存の3病院はサテライト施設として病床・機能の縮小や無床診療所化。山形大学の協力の下に基幹病院の医師は確保されたが、他大学系の医師はほとんどいなくなった。サテライト側は医師が不足し経営も悪化、患者は基幹病院に集まる結果に。病院当局者は「再編して医師が集まっているわけではない」と。地元自治体議会も「当初計画通りの医療機能充実と医師確保を求める決議」を上げた。

(2)指定管理者制度での「公設民営化」・・・京都・舞鶴市民病院など 

? 2006年1月、当時の市長がそれまでの「病院の自立再建」の方針をひるがえして、大幅な機能縮小と指定管理者制度での公設民営化を発表。しかし、同年2月には、市長が指定管理者に予定していた医療法人が、「辞退」を申し出たため、当面は直営での運営に変更。しかし、市長の民営化方針のもとですでに、ほとんどの医師が転勤等を決めており、後任の医師確保できず、4月からの病院運営は事実上の休止状態に。この地域は病院の過密地域といわれていたが、地域の救急医療体制の維持に大きな困難が生じるなど地域医療に重大な問題が発生。同様の事例が栃木県佐野市でも。

? 一方、100床以下の小規模病院では、京都・大江病院など、院長が医療法人を立ち上げ、病院職員の多数が医療法人に転籍。医療を継続している事例も。しかし、賃金水準の大幅なダウンでの人材確保困難や、診療報酬の改悪での経営困難にも直面している。

(3)独立行政法人化・・・大阪府立病院・国立病院など

? 2006年4月、府立5病院が公務員型地方独立行政法人に移行。5年で不良債務約60億円の解消が認可の条件。06年度は13億の黒字に。非紹介患者の初診時負担や分娩料の引き上げ、セカンドオピニオン費用の倍増など患者負担が増加。また、収入を確保するために手術件数や検査件数の目標を高く設定、医師・看護師はじめ医療従事者が過重な労働に。看護師の退職が相次ぎ年間200人に。採用年齢を59才まで引き上げたが確保できず。事務・現業部門の大幅な人員削減・委託化などで、患者さんに出してはいけないおかず等が出されたり大きな給与支払いミスなどが発生。07年度は6.3億の黒字で目標の半分に。目標残は翌年分に加算。

? 04年に特定独立行政法人に移行した国立病院では、運営交付金の連年の削減。更に、「整理合理化計画」で廃止・民営化や非公務員型への移行の検討。国立大学附属病院では国からの運営交付金が毎年大幅に削られ、当初、約600億円から300億円に半減。収入の確保へより多くの患者を受け入れた結果、医師・医療従事者の過重労働で、病院長の80%以上が「医療の質および安全が低下する」「非採算的な高度診療機能が低下する」「医師確保が困難になる」と回答。国立大学付属病院長会議が国に予算拡充を要望へ。

(4)病院建設・維持管理等のPFI・・高知医療センター、滋賀県近江八幡市民病院など

いずれも財政破綻状態。当初契約の材料費などの過小見積もりや患者数の過大見積もり、医療情勢の変化に対応できない高利の長期契約、PFI会社(SPC)への固定経費(マネジメント料)などが要因に。自治体の身の丈を超えた建設計画の問題も。近江八幡市は、ついにPFI契約を解除。運営・維持管理PFIの大阪・八尾市民病院も、新築・PFI導入前は、経営は黒字であったが、導入後に大幅な赤字に。


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200812_自治体病院の「統合・再編」「運営形態の見直し」に関する動きから(0812)自治体病院の「統合・再編」「運営形態の見直し」に関する動きから(0812) (138KB)

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