地域医療と自治体病院を守るため、政府は財政支援措置の抜本的強化へ踏み出せ
「公立病院に関する財政措置のあり方等検討会」報告書についてのコメント
(検討案、081213 京都自治労連・病院対策委員会)
さる11月25日、総務省の「公立病院に関する財政措置のあり方等検討会」(以下、検討会)が報告書を発表し、平成21年度以降の地方財政措置についての提言を行いました。
この検討会は、総務省が、昨年に12月に「公立病院改革ガイドライン」発表したことなどをふまえ、自治体病院に対する地方交付税・地方債などの財政措置のあり方について検討するため設置されたものです。検討会は、大学教授や自治体病院関係者など10名で構成され、本年7月から、6回の会合を開き、自治体病院長など関係者からのヒアリングや自治体からの意見募集などを経て、「具体的財政措置に関する提言」(以下、提言)を含めて報告書を発表しました。
自治労連は、この検討会の議論に対応して、総務省に対して、「ガイドラインに基づく病院改革」(病院の統合や縮小再編、病院運営形態のありかたの見直しなど)への「政策誘導」としての財政措置ではなく、地域医療と自治体病院の再建・充実のために、医師確保対策や僻地・不採算医療等への抜本的支援など、「ガイドライン」を前提にしない財政支援措置の抜本的強化を求め、具体的な提案を含めて、繰り返し要求行動を行ってきました。
今回の検討会報告書でのべられた「提言」の内容は、「不採算地区に係る特別交付税措置の適用要件の拡大」「産科・小児科・救急医療に関する特別交付税措置の充実」「公立病院に勤務する医師の人件費に関する財政措置」「有床診療所への特別交付税措置」「公的病院等に関する助成措置の拡大」など、この間、自治労連が「ガイドラインを前提にしない財政支援措置」として要求してきた内容と多くの点で一致するものであり、地域医療・自治体病院関係者等の要望を一定反映した内容となっています。
また提言では、「公立病院における医師不足や厳しい勤務実態、・・・産科・小児科や救急医療の逼迫した状況を憂慮しており、これらに関する財政措置の改正については可及的速やかに措置されることを特に求めたい」とし、その一方で、「普通交付税措置への病床利用率の反映」については、「平成23年度以降の普通交付税算定にむけて検討を進める」としつつも、「その内容・程度、具体的な実施時期、移行措置等について慎重に検討」としました。
「ガイドライン」では、「地方財政措置の重点化」として「病床利用率の交付税措置への反映」で捻出した財源を、「過疎地等への地方財政措置の充実」に振り向ける方向を示していましたが、必ずしもこの立場にこだわらず、必要な財政措置の早急な具体化を求めたものと考えられます。こうした提言内容を具体的に実施するためには、国の自治体病院に対する財政措置の総枠の抜本的な拡大が不可欠です。
さらに、提言には触れられていませんが、この間、自治体病院関係者からは、政府が大幅に削減してきた自治体病院運営への普通交付税措置の復元や、長年据え置いてきた診療所への普通交付税措置の引き上げ、医師確保対策にかかわる抜本的な財政支援措置、精神科医療への財政措置の拡充、不良債務解消等への緊急支援措置など、多くの要望が出されています。
自治労連は、こうした要望を含めて、政府が、来年度地方財政対策等において、自治体病院への財政措置の総枠を抜本的に拡充し、直ちに具体的措置を実施するよう強く求めるものです。また、地域医療と自治体病院を守るため、財政支援措置と共に、医師確保の緊急抜本的な対策の実施、医療費削減政策を撤回して国民医療を充実することなどを求めて、引き続き、「いのちと地域を守る大運動」を強化するものです。
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公立病院に関する財政措置のあり方検討会報告書のコメント(081213) (109KB)
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