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トップ  >  京都自治労連の声明、委員長・書記長の談話  >  2019年人事院勧告に対する声明 6年連続の月例給・一時金引上げも、生活改善には程遠い低額勧告 「すべての労働者の賃金引上げ」をめざし、2019年秋季年末闘争に全力を! [2019.8.8]

2019年人事院勧告に対する声明

6年連続の月例給・一時金引上げも、生活改善には程遠い低額勧告
「すべての労働者の賃金引上げ」をめざし、2019年秋季年末闘争に全力を!

2019年8月7日
京都自治体労働組合総連合

1.政府の公務員賃金抑制政策を推進する2019年人事院勧告

 人事院は8月7日、国会と内閣に対して、2019年人事院勧告・報告を行った。その内容は、19春闘における6年連続の賃金引上げを一定反映し、6年連続で月例給・一時金を引上げたものの、その水準は生活改善にはほど遠い低額勧告と言わざるを得ない。

 勧告・報告の概要は、(1)官民較差が387円(0.09%)であることから、総合職・一般職の大卒初任給を1,500円、一般職高卒初任給を2,000円引上げるとともに30歳台半ばまでの号俸を改定する一方、中高年層・再任用職員の改定は見送り、(2)一時金は、0.05月引上げ、年間4.50月とし、0.05月の増額分はすべて勤勉手当に(ただし、再任用職員は改定なし)、(3)住居手当について、公務員宿舎使用料上昇を考慮し、2020年度から基礎控除額を4,000円引上げ16,000円とし、その原資を用いて最高支給限度額を1,000円引上げ28,000円とするとともに、手当額が2,000円を超える減額となる職員には1年間の経過措置、(4)定年の引き上げについて、昨年の意見の申出を踏まえ、早期に実施されるよう改めて言及、(5)超過勤務上限規制の運用状況の把握、ハラスメント防止策の措置、(6)非常勤職員への夏季休暇を新設したものの、抜本的な賃金改善は見送り―などである。

2.2019年人事院勧告・報告の問題点

 人事院は、公務労働者が労働基本権の制約を受けているもとで、その代償機関として、国家公務員の賃金労働条件を維持向上させていくことに責任がある。

 2019年人事院勧告・報告の基本的特徴は、今年も、公務労働者の労働基本権制約の代償機関としての役割を放棄し、政府の公務員総人件費抑制政策を推進する立場からの勧告・報告を行ったことである。

 2019年人事院勧告・報告は、次のような特徴と問題点を持っていることを指摘する。

  1. 今年の官民較差に基づき月例給・一時金とも引上げとし、6年連続の「プラス勧告」とした。これは、19国民春闘において、「すべての労働者の賃上げで景気の回復」にむけ官民一体でたたかった結果、民間で6年連続のベアを実現させたことなど、運動の前進の反映である。

    しかし、引上げ額は、前年実績を若干下回る19春闘結果を反映し、前年を下回る低額勧告であり、公務労働者の生活改善には遠く及ばないものである。今回、初任給改善を一定重視したものの、全体の引上げに及ばなかったことは極めて不満である。今回の勧告で高卒初任給を2,000円の引き上げ、月額で150,600円となるが、国家公務員ベースでの時間単価は地域手当非支給地で896円と京都の最低賃金目安額909円をも下回っており、抜本的な引上げ、改善が必要である。公務への人材確保の観点からも、初任給をはじめ、公務員賃金の大幅引き上げを行うことを求めるものである。

    また、中高年層職員、再任用職員について改定を見送ったことは、さらなる生活悪化をもたらすとともに、世代間の分断に拍車をかけるものであることを厳しく指摘するものである。
  2. 一時金については、今年も、0.05月の増額分をすべて勤勉手当に充てており、能力・成績主義強化の不当な勧告と言わざるを得ない。
  3. 「給与制度の総合的見直し」が完成し、多くの職員が賃金引下げになったままであり、加えて10月には消費税増税が予定されていることから、生活実態はますます悪化することが必至である。人事院は、政府の公務員給与抑制策推進の立場をただちに改め、生計費原則に基づき、公務労働者の大幅な賃金引上げを行うよう強く求めるものである。
  4. 住居手当について、基礎控除額を4,000円引上げ16,000円とし、その原資を用いて最高支給限度額を1,000円引上げ28,000円に引上げることとしたことから、家賃12,000円以上16,000円未満が「支給対象外」、16,000円以上59,000円未満が「引下げ」になり、家賃59,200円以上が「引上げ」となる。このことから、大都市部は引上げ、地方は引き下げとなる公算が大であり、地域間給与のさらなる拡大をもたらすもので断じて認められない勧告である。また、2,000円を超える手当の減額になる職員には1年間の経過措置を設けるとしたものの、生活実態の悪化は必至である。

    そもそも今回の見直しは、国策として進められている国家公務員宿舎の削減を起因としており、国策として実施されたことに伴う「不利益変更」を一方的に労働者に押し付けるものであり、不当極まりないものである。一人でも不利益変更がある以上、到底認められない。
  5. 地域手当による地域間格差拡大の解消の問題や、通勤手当の改善などは「ゼロ回答」であり、人事院の責務放棄であることを指摘するものである。
  6. 「定年引上げ」の課題については、昨年8月の「意見の申出」を踏まえた段階的な定年引上げの早期実施を改めて要請することにとどめ、60歳以降の生活保障や困難職種対応などに何ら言及していないことは極めて不満である。さらに、再任用職員の賃金改善について、一時金の改定を見送るとともに、強い要求である生活関連手当の支給に対しても「ゼロ回答」であることを厳しく批判するものである。
  7. 働き方改革、超勤上限規制の問題では、「制度の運用状況を把握し、必要に応じて各府省を指導する」だけであり、職員の増員を基本とする抜本的な長時間労働解消への言及がないことも、職場実態を顧みないものとして批判するものである。また、ハラスメントについて「新たな防止策を措置」と言及しているが、真に実効性のある対策とすることを求めるものである。
  8. 非常勤職員の賃金・労働条件では、夏季休暇の新設に言及した。遅きに失した感はあるが、当然の措置である。しかし、他の賃金・労働条件の改善は何ら言及がなく、均等待遇の実現や「同一労働同一賃金」の見地からみても、おおいに不満が残るものである。

3. 全組合員の力を集めて19秋季年末闘争に全力を!

 この間、2005年勧告の「給与構造改革」、東日本大震災後の7.8%特例賃下げ、そして「給与制度の総合的見直し」の完成により、公務員賃金は大きく引き下げられ、公務労働者の生活は悪化している状況にある。そのもとで、6年連続の「プラス勧告」がされたものの生活改善につながるものではなく、加えて政府によるラスパイレス指数を口実にした地方公務員賃金抑制攻撃、長時間労働など、私たちの賃金・労働条件をめぐる状況は厳しさを増している。今後、京都府・京都市の人事委員会勧告にむけて、国人勧への追随を許さず、公務員賃金が持つ社会的役割を明らかにして、「すべての労働者の賃上げ」の実現をめざす運動を官民総がかりで推進しなければならない。

 19秋季年末闘争は、安倍9条改憲阻止、8時間働けば普通のくらしができる賃金・労働条件の実現、「自治体戦略2040構想」の具体化と公共サービスの産業化を許さず、消費税増税中止、社会保障の拡充、来年2月の京都市長選勝利をはじめとした民主的自治体建設などの運動を大きく広げなければならない。

 19賃金確定闘争では、生計費原則に基づく賃金闘争を推進し、「給与制度の総合的見直し」などで引下げられた賃金水準の回復と引上げ、定年引上げ、「会計年度任用職員制度」導入にむけたたかい、実効性ある時間外労働上限規制と長時間労働解消、人員増員、ハラスメント防止対策の充実など、安心して働くことのできる賃金・労働条件の確立にむけた運動を強めることが必要である。19賃金確定闘争での要求の前進に向け、人勧学習会や対人事委員会・当局宛への賃金改善署名など、職場を基礎に全組合員の行動参加を追求するとともに、すべての取り組みを組織の拡大強化につなげ、全単組で増勢を実現できるようおおいに奮闘しよう。

 京都自治労連は、自治労連に固く結集し、単組・組合員の皆さんと力をあわせ19秋季年末闘争を全力で推進するものである。

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