長岡京市による香山リカ氏特別講座の後援不承認決定に抗議する
住民の基本的人権を守ることこそが自治体の役割
2020年4月16日 京都自治体労働組合総連合 書記長 小林竜雄
一、長岡京市は、乙訓社会保障推進協議会が主催し、4月25日に行うとしていた精神科医で立教大学教授の香山リカ氏の特別講座「診察室から見えるリアルなニッポン〜貧困、差別、ハラスメントとうつ病〜」への「後援」を「できない」と断っていたことが、4月15日の新聞報道で明らかとなった。
長岡京市が、後援名義の使用申請を不承認とした理由は、「後援を基に参加した市民が、トラブルに巻き込まれる可能性がある」というものであり、2018年の南丹市の催しで香山氏の出演を巡って妨害を示唆する予告があったことから判断したとのことである。
一、長岡京市が理由とした、2018年の南丹市などが主催する香山氏の講演(講演:「子どもの心を豊かにはぐくむために一精神科医からのアドバイス」)の件は、「香山さんをよく思わない連中が集まるだろう」などと暴力的な脅し「抗議」(電話5件、来庁で1件)に屈し、南丹市が毅然とした態度を取るどころか、「会場の混乱を避けるため」を理由に、講師の変更を行ったものである。当時、京都自治労連は書記長談話を発表し、「南丹市は、法的措置も含めて毅然と対応すべきである」と、厳しく南丹市の取った言論の自由への自殺行為を批判した。
今回重大なのは、長岡京市が香山氏の講演会に「抗議」すらないにもかかわらず、南丹市の例を持ち出して後援の不承認決定を行っていることである。
悪しき前例を理由として不承認が許されるのなら、全国の1,741の自治体で、自分の意に反する講師による講演に対して抗議行動を行えば、標的とされた講師が参加する企画には、日本中のどこの自治体でも後援が不承認となることにつながり兼ねず、本来、表現の自由を守り住民自治を育むべき自治体が行うことではない。
一、今回の長岡京市の決定には、「安倍政権への忖度」という疑念を強く指摘しなければならない。時の政権の政治姿勢を批判し、違う意見を述べる人物の講演や集会などに、会場使用の取消しや後援不承認などを行う自治体が全国で少なからず見受けられる。
京都においても、2018年11月に京都弁護士会主催の憲法学者の木村草太氏を招いた「第48回憲法と人権を考える集い」に京都府は、「政治的中立性の確保が厳しい」として1971年から続けてきた同集いの共催を辞退した。さらに、府内の多くの自治体が後援を取りやめる事態に至った。政権への忖度が横行する自治体に、住民の繁栄や公務労働者の働きがいを望むことはできない。
今、新型コロナウイルス感染が猛威を振るい、住民のいのちと暮らし、営業が戦後最大の危機を迎えている。このような時だからこそ、自治体には、住民の基本的人権を守ることこそ求められている。
京都自治労連は、長岡京市に対し、後援の不承認決定にきびしく抗議するとともに、憲法で保障された住民の基本的人権を擁護する自治体本来の役割を発揮するよう強く求めるものである。
以上
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