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トップ  >  京都自治労連の声明、委員長・書記長の談話  >  【声明】2022年人事院勧告に対する声明…月例給・一時金引き上げも、物価上昇にも及ばない生活改善に程遠い低額勧告…「すべての労働者の賃金引き上げ」をめざし、2022年秋季年末闘争に全力を![2022.8.6]

2022年人事院勧告に対する声明

月例給・一時金引き上げも、
物価上昇にも及ばない生活改善に程遠い低額勧告
「すべての労働者の賃金引き上げ」をめざし、
2022年秋季年末闘争に全力を!

2022年8月8日
京都自治体労働組合総連合

1.物価上昇に追いつかない2022年人事院勧告

 人事院は8月8日、国会と内閣に対して、2022年人事院勧告・報告を行った。その内容は、22春闘における賃金引き上げを一定反映し、3年ぶりに月例給を引き上げ、一時金を改善したものの、その水準は、物価上昇にも及ばない生活改善にはほど遠い低額勧告と言わざるを得ない。

勧告・報告の概要は、(1)官民較差が921円(0.23%)であることから、総合職・一般職の大卒初任給を3,000円、一般職高卒初任給を4,000円引き上げるとともに30歳台半ばまでの号俸を改定する一方、中高年層・再任用職員の改定は見送り、(2)一時金は0.10月(再任用職員は0.05月)引き上げ、年間4.40月(同2.3月)とし、増額分はすべて勤勉手当に、(3)テレワークを行う場合に支給する新たな手当について、具体的な枠組みを検討、(4)非常勤職員の賃金・労働条件について言及なし、(5)長時間労働の是正に向けて、業務量に応じた定員・人員確保の必要性について指摘、(6)柔軟な働き方を一層促進するため、フレックスタイム制及び休憩時間制度の柔軟化について本年度内に措置。勤務間インターバルの確保等について引き続き検討―などである。

2.2022年人事院勧告・報告の問題点

2022年人事院勧告・報告の基本的特徴は、今年も、公務労働者の労働基本権制約の代償機関としての役割を放棄し、政府の公務員総人件費抑制政策を推進する立場からの勧告・報告を行ったことである。

2022年人事院勧告・報告は、次のような特徴と問題点を持っていることを指摘する。

(1) 今年の官民較差に基づき月例給・一時金とも引き上げ、3年ぶりの「プラス勧告」とした。これは、22国民春闘において、「すべての労働者の賃上げで景気の回復」にむけ官民一体でたたかった結果、民間で昨年を上回るベアを実現させたことなど、運動の前進の反映である。

しかし、引き上げ額は、物価上昇にも満たず、公務労働者の生活改善には遠く及ばないものである。情勢適応の原則をいうのであれば、実質賃金が目減りし続けている事態にスピード感を持って対応すべきであり、異常な物価急騰を指摘しながら生計費の問題については「注視」とする人事院勧告は、情勢に適応できない人事院勧告制度の限界を露呈していると言わざるを得ない。

民間との乖離がさらに拡大した初任給の改善を一定重視したものの、全体の引き上げに及ばなかったことは極めて不満である。この3年間、新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ住民のいのちとくらしを守るためにすべての職員が奮闘しており、これらの労苦に報いる勧告こそ求められている。中高年層職員、再任用職員について改定を見送ったことは、士気にもかかわる重大な問題であり、世代間の分断に拍車をかけるものであることを厳しく指摘する。

今回の勧告で高卒初任給を4,000円引き上げ、月額154,600円とした。しかし最低賃金の引上げにも及ばず、国家公務員ベースでの時間単価は地域手当非支給地で921円と今年の京都の最低賃金目安額968円との間差はさらに拡大しており、抜本的な改善が必要である。公務への人材確保の観点からも、初任給をはじめ、公務員賃金の大幅引き上げを行うことを求めるものである。

(2) 一時金については、0.10月の増額分を今年もすべて勤勉手当に充て、さらに、引き上げ分の一部(0.02月分)を上位の成績区分に係る原資にあてており、能力・成績主義強化の不当な勧告と言わざるを得ない。

(3) 「給与制度の総合的見直し」により多くの職員が賃金引き下げになったままであり、加えて急激な物価上昇で、生活はますます悪化することが必至である。人事院は、政府の公務員総人件費抑制政策推進の立場をただちに改め、生計費原則に基づき、公務労働者の大幅な賃金引き上げを行うよう強く求めるものである。

(4) テレワークの実施に係る光熱・水道費等の職員の負担軽減等の観点から、テレワークを行う場合に支給する新たな手当について、通勤手当の取扱いも含め、具体的な枠組みを検討するとしているが、当事者たる労働組合の意見をふまえた納得と合意が大前提である。一方、地域手当による地域間格差拡大の解消の問題や、ガソリン代が高騰する中での通勤手当の改善などは「ゼロ回答」であり、人事院の責務放棄であることを指摘するものである。

(5) 非常勤職員の賃金・労働条件に言及しておらず、労働基本権が制約されている代償措置は不十分といわざるをえない。雇用の安定と病気休暇の有給化などを早急に措置すべきである。あわせて、正規職員の一時金引き上げが勧告されたもとで、会計年度任用職員など非正規職員についても均等待遇実現の見地から同様の措置を講じるべきである。

(6) 定年引き上げなどに関連して、給与制度のアップデートに向け、来年に骨格を示し、再来年から順次措置を図るとしている。給与カーブのあり方など高齢層の賃金水準、地域手当の見直しと地域間格差の是正、本府省手当を含めた機関間格差の是正、公務部内における人事評価による格差是正など、すべての職員が安心して働き続けることができる給与制度の実現に向けた、真摯な協議を求めるものである。

(7) 人事管理に関する報告では、長時間労働の是正について多くが語られ、定数が十分ではないため長時間の過密勤務で対応せざるを得ない実態も指摘して、業務量に応じた定員・人員の確保について言及した。しかし、人員確保はすべての対応を講じた上でとされており、コロナ対応も含め上限規制を超えた職員が増加し、過労死ラインを超える働き方が横行している職場の実態を直視していない。人材確保の面から、採用試験の見直しや「働き方改革」に重点を置いているが、職員を大切にする賃金・労働条件の確立が公務の魅力を高めることにつながる。直ちに職員増と時間外上限規制の厳格に運用を実現すべきである。

(8) テレワークをはじめとする柔軟な働き方を一層促進するため、フレックスタイム制及び休憩時間制度の柔軟化について本年度内に措置するとしている。職員の生活リズムを壊すだけでなく、窓口対応の必要などから、かえって長時間労働による健康破壊につながり、他方、職員個々の労働時間管理は煩雑となり、職場に混乱をきたしかねない。職場が求めているのは、確実な業務遂行と長時間労働の解消、休暇等の権利が行使できる人員確保にほかならない。

3. 全組合員の力を集めて22秋季年末闘争に全力を!

国民・労働者の生活は、この間の実質賃金の低下にくわえ、長期化するコロナ禍、ウクライナ危機ととどまることのない物価上昇などによって、悪化の一途をたどっている。加えて、ラスパイレス指数を理由とする賃金削減攻撃など、私たちの賃金・労働条件をめぐる状況は厳しさを増している。今後、京都府・京都市の人事委員会勧告にむけて、国人勧への追随を許さず、公務員賃金が持つ社会的役割を明らかにして、「すべての労働者の賃上げ」の実現をめざす運動を官民総がかりで推進しなければならない。

22秋季年末闘争は、9条改憲阻止、8時間働けば人間らしいくらしができる賃金・労働条件の実現、「自治体戦略2040構想」の具体化と公共サービスの産業化を許さず、消費税減税と社会保障の拡充、民主的自治体建設と政治の変革などの運動を大きく広げなければならない。

22賃金確定闘争では、生計費原則に基づく賃金闘争を推進し、生活改善できる賃金の引き上げ、定年引き上げ、会計年度任用職員の処遇の抜本的改善、ケア労働者の処遇改善、実効性ある時間外労働上限規制と長時間労働解消、人員増、ハラスメント防止対策の充実など、職場で奮闘するすべての職員とその家族のくらしを支え、安心して働くことができる賃金・労働条件の確立にむけた運動を強めることが必要である。

22賃金確定闘争での要求の前進に向け、人勧学習会や対人事委員会・当局宛への賃金改善署名など、職場を基礎に全組合員の行動参加を追求するとともに、すべての取り組みを組織の拡大強化につなげ、全単組で増勢が実現できるよう大いに奮闘しよう。

京都自治労連は、自治労連に固く結集し、単組・組合員の皆さんと力をあわせ22秋季年末闘争を全力で推進するものである。

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