2012年度補正予算案と「緊急経済対策」の閣議決定についての見解
2013年1月18日
京都自治体労働組合総連合執行委員会
安倍内閣は、1月15日の臨時閣議で、歳出総額13兆1054億円の2012年度補正予算案を決定しました。11日に閣議決定した事業費総額20.2兆円にのぼる「日本経済再生にむけた緊急経済対策」の裏付けとなる国の財政支出10兆2815億円に、基礎年金の国庫負担分2兆5842億円などを加えたもので、リーマンショック後に麻生内閣が打ち出した13.9兆円の対策に次ぐ過去2番目の大規模なものとなっています。歳入では、財源不足を賄うために7.8兆円の国債を増発するため、12年度の新規国債発行額は当初予算分と合わせて52兆円に膨らみ、いっそうの「財政悪化」が懸念されます。
補正予算案の概要は、「復興・防災対策」に3.8兆円、「成長による富の創出」に3.1兆円、「暮らしの安心と地域活性化」に3.1兆円(「地域の元気臨時交付金」1.4兆円含む)となっていますが、自民・公明両党が衆院選公約で掲げた積極的な公共事業や大企業支援を盛り込んだのが特徴となっています。
京都府では、山田知事が国からの予算と事業確保の号令をかけ、総選挙直後から政府・与党・関係業界への働きかけを強め、山陰近畿自動車道、京都縦貫、舞鶴港、KTR、北山文化ゾーン、新名神、奈良線の複線電化、私のしごと館の活用等々、「一気に懸案解決に向けて乗り出す」とともに、亀岡でのサッカースタジアム建設を表明するなど、大型公共事業を推進しようとしています。
安倍首相は、「緊急経済対策」で「企業収益を向上させて、雇用や賃金の拡大につなげていきたい」と強調しましたが、大型公共事業をバラマキ、大企業を支援しても、雇用や賃金の改善にも地域の活性化にもつながらないばかりか、国と地方の財政危機のいっそうの悪化が懸念されるなど、過去の自民党政権時代に破綻済みの「経済対策」の焼き直しに期待することはできません。
デフレを克服し景気を回復させるためには、国民の所得を増やす対策が必要であり、大企業による無法なリストラを規制し労働者の賃上げと雇用の安定をはかること、大型公共事業の復活ではなく生活密着型の事業を地域の実情をふまえて実施すること、社会保障を拡充するとともに消費税の増税を中止することなどが求められています。また、国家公務員の賃金カットにあわせた地方への1.2兆円もの賃金カットの押しつけ提案などは、道理がないだけでなく、景気対策にも逆行するものであり直ちに撤回すべきです。
自治体での「緊急経済対策」の具体化にあたって、安易な「ハコモノ」建設などではなく、地域経済と雇用の拡大に向け、学校や保育所、福祉施設など公共施設の耐震補強、生活道路の改修をはじめ生活密着型の公共事業の実施、中小企業や伝統・地場産業の支援に活用すべきです。同時に、地域の雇用や労働者の収入増、地元企業の育成に資するには、公契約条例や中小企業振興条例など地域内で経済が循環する仕組みづくりなどが必要です。また、自治体職場ではこの間、人員が大幅に削減されていることから、事業を実施するための人員増や体制の強化も必要になっています。
私たち京都自治労連は、住民の暮らしの向上と地域の活性化につながる経済対策の実現に向け、住民との共同をひろげよりいっそう奮闘するものです。
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