機関紙 - 18歳まで医療費無料など充実施策 子育てするなら伊根町で 伊根町職員組合執行委員長:濱野秋芳さん
〜合併選ばず、独自のまちづくり〜
漁業の町として栄えてきた伊根町。「舟屋」の景観は、「一度は訪ねてみたい」と全国の人々が憧れる観光地です。"ひとが活き生き" をスローガンに、高校生卒業までの医療費の無料化など伊根町ならではのまちづくりをすすめています。伊根町に町職員組合執行委員長で住民生活課医療係の濱野秋芳さんを訪ねました。
みんなで選んだ伊根町 力合わせ困難乗り切る
濱野さんは、伊根町で生まれ育ち、舞鶴工業高等専門学校へ進学し電気工学を専攻、同学校に新設された専攻科へも2年間通い研究しました。それが、「伊根に帰るのもいいか」とまったく畑違いの町役場へ就職。14年になります。
就職当時は合併問題が出てきたころで、宮津市との1市1町合併問題は、町を二分する大論争になり、住民投票で「合併しない」を選択。以来、町独自のまちづくりをすすめることになりました。
濱野さんによると、三位一体改革の下での交付金削減などが見込まれ、町は財政危機に直面します。住民の意思で残った伊根町を守ろうと、住民税の超過課税や保育料値上げ、各種証明書の値上げなど住民負担を町民に協力してもらうとともに、町職員の賃金のカットに町職も応じるなど、住民と職員の協力で財政危機を乗り切りました。
今、伊根町は"ひとが活き生き"を合言葉に、様々な施策をすすめています。特に、子育て施策は充実しています。濱野さんが担当している医療分野もその一つで、子どもの医療費は高校卒業まで無料で、府内トップの制度を誇ります。さらに、修学旅行費全額補助、学校給食は無料、学校に必要な教材費なども無料です。これらの制度が、親の収入に関係なく全ての子どもに実施されています。「本当に助かる」と住民から歓迎されています。
濱野さんは、「限られた財政の中で、住民のみなさんに喜んでもらえる施策はないかとの議論の中で生まれたもので、子どもの人口が少なく、大きな財政負担とはなっていない」「子どもを、子育て世代を大切にするアピール効果は大きい。子育てするなら伊根町で!と言いたい」と力が入ります。
住民のみなさんと伊根の良さ生かしまちづくり
今後のまちづくりの課題については、「I・Uターンで、農業や漁業で頑張っている若い人もおられますが、生活していける仕事づくりが必要ですね」「私の仕事との関係では、町には2か所の診療所がありますが、常勤の医師ではありません。北近畿にはいざと言う時のドクターヘリもありますが、やはり昼夜対応いただける常勤の医師が理想です。高齢化や独居もすすんでいますから」。
「住民のみなさんと、職員と力を合わせて伊根の良さを生かしたまちづくりをすすめたい」と優しい笑顔の濱野さん。今年の活躍が楽しみです。
伊根町の子育て施策
○小中学校関係 | |
学校給食費無料 | 現物給付 |
教材費無料 | 現物給付 |
修学旅行費無料 | 現物給付 ※支援学校は償還払い |
○医療費 | |
自己負担金無料 | 18歳になった年度末まで ※府外受診、高校生は償還払い |
○保育料 | |
第2子半額 | 同時入所要件なし |
第3子以降無料 | 年齢・所得制限なし |
○出産 | |
お子さま たんじょう祝金 | 新生児1人につき5万円 |
京都自治労連 第1863号(2016年1月5日発行)より