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機関紙 - 矛盾に満ちた不当な勧告 賃金、景気・雇用悪化すすめるマイナス人勧許さない

矛盾に満ちた不当な勧告 賃金、景気・雇用悪化すすめるマイナス人勧許さない

カテゴリ : 
組合活動
 2010/8/26 14:20

 人事院が8月10日に行った人事院勧告は、二年連続のマイナス勧告(平均年収▲9・4万円引き下げ)、不当不法な年齢による定率賃下げなどの内容。今多くの職場で、この勧告に怒りの声が広がっています。賃金権利部長の新田書記次長に今年の勧告の問題点やたたかい方について語っていただきました。

全て職場からの学習・要求結集のたたかいを

京都自治労連 賃金権利部長
新田 昌之 書記次長

今回の勧告にはどのような問題点がありますか

第1の問題
労働者と経済に深刻な影響を与えます

 マイナス人勧が及ぼす影響は、公務員準拠の医療や福祉職場など580万人を超える労働者に直接影響し、中小企業労働者の一時金や来春闘に及ぼす影響も考えると極めて重大で、消費不況が一層すすみます。

 今年の「労働経済白書」も認めているように、今日の不況は、行きすぎた「規制緩和」政策による雇用劣化不況、賃下げ不況です。今回のマイナス人勧は、これまでの誤りを繰り返すものとして厳しく批判されなければなりません。

 この11年間で年間平均給与が61・5万円も下がりました。さらに9・4万円もの減額は、職員のモチベーションにとっても深刻な状況をもたらすのではないでしょうか。

第2の問題
不法不当な56歳以上の賃金カット

 役職や資格が同じにもかかわらず年齢によってのみ「賃金カット」を押し付けるという手法は、民間でも16・5%の企業しか行っていないものであり、明確なデーターや道理も合理性も示さず勧告しました。

 今回の56歳以上の賃金カットは、人事院がこれまで公務員の賃金決定の根拠として強調してきた職務給原則をも踏みにじる、矛盾の極みともいえるものです。
 また、定年延長を見越して60歳前後の給与削減を視野に入れての措置という面も黙過できません。

第3の問題
制度の根幹に関わる問題で労働組合の軽視

 人事院が昨年に続いて、ブロックごとの地域別民間給与較差を出したことは、さらなる基本給の切り下げと、道州制を念頭に置いたブロック別賃金を狙ったものと言わざるを得ません。

 また、給与構造改革後の原資を43歳未満の1号昇給にあてることも、労使での十分な協議もなく、給与構造改革の検証も抜きに唐突なものになっていますし、中途採用など43歳以上でも、42歳以下より低い方もおられ、不公平な措置と言わざるを得ません。

 役職定年制含む定年延長問題は、年内に成案を得るとしていますが、職務や年代に応じた生計費を踏まえた賃金水準のあり方、働き続けることが困難な職種での不利益を生じない制度設計など、労使交渉や合意を尊重すべきです。

第4の問題
非常勤職員の処遇改善では一定評価

 非常勤職員の処遇改善に関して、育児休業等を取得できるように法改正を求める意見を提出することや、日々雇用の非常勤職員制度を改め、原則1年任期で更新可能な「期間業務職員制度」導入を示したことは、再任のルール設定の前進面もあり一定評価できますが、「有期雇用」を国が推進することは許せません。今後、昇給制度、退職金制度はじめ均等待遇にむけ抜本的な改善を求めるとともに、「期間の定めのない制度」を求めていくと同時に、非正規雇用の地方公務員の制度改善を求めていくことが重要です。

第5の問題
超勤月45時間〜60時間未満の手当率問題

 労基法改正に伴って、月60時間超の超勤手当率150%の60時間に休日も含める改善は当然だが、限度時間の月45時間以上月60時間未満の手当率を125%としていることは問題です。

 労基法は、月45時間を超える際は36協定を結ぶ際に、法定割増率(125%)を超える率とするように、としています。

 労基法適用の自治体職員の所では、36協定締結とあわせ125%を超える率にする取り組みを進める必要があります。

第6の問題
昨年に続き、「不利益遡及」である「年間調整」を強行

 現給保障層の「年間調整」含め、過去に遡る「調整」は、権利の問題として認められません。
 また、俸給表がマイナス改定される職員と現給保障層の職員だけで、「調整」するために、0・28%という数字が出てきているが、例えば200円(△0・1%)マイナスになる職員が、完全遡及だと2000円程度なのに、地域手当、扶養手当等含めた額に0・28%を掛けるために8000円以上もの額が「調整」の名の下に減額されるなどの不公平が生じます。

どのようなたたかいが必要ですか

 今回の勧告は、これまでの人事院の歴史の中でも、矛盾に満ちた極めて不当な勧告となっています。それだけに、勧告の問題点をしっかり学ぶ事が必要です。分会や職場で学習会を旺盛に取り組みましょう。

人事委員会への取り組みと全労働者、国民的課題での運動を

 京都府、京都市の各人事委員会への団結署名を取り組みます。職場の怒りを表すものとして特に重視しましょう。

 労働者・国民的要求の前進なくして、私たちの賃金や労働条件の前進は困難です。「最低賃金1000円」「派遣法の抜本改正」での民間労働者、地域での共同闘争の強化が必要です。
 また、非正規雇用職員、外郭団体など関連労働者の処遇改善、組織化を展望し引き続き強化が必要です。

労働協約締結権回復を展望して

 勧告イコール地方確定ではなく、労働協約締結権の2012年回復を展望し、生計費原則、職員の生活実態、職場、地域の実態に基づき、産別闘争を軸に各単組が職場を基礎に大いにたたかうことが必要です。
 11月条例改正が予想されますので、出足早く取り組みましょう。

 

人事院勧告の内容

  • 平均年間給与▲9.4万円(▲1.5%)引き下げ
  • 官民格差 マイナス0.19%(▲757円)
  • 56歳以上・行(一)6級以上の給料及び管理職手当の支給額1.5%引き下げ
  • 40歳代以上の給料表(初任給を中心とした若年層及び医療職(一)を除く)平均0.1%引き下げ、・4月遡及(調整率▲0.28%)
  • 一時金0.2月(期末0.15月、勤勉0.05月)引き下げ、年3.95月
  • 非常勤職員の日々雇用廃止と期間業務職員の導入、育児休業介護休暇の措置
  • 60時間強化勤務積算の基礎に日曜日これに相当する日を含む
  • 65歳定年制実現にむけて検討・意見の申し出を今年中に行う

京都自治労連 第1734号(2010年8月20日発行)より

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