機関紙 - パナマ文書の徹底調査を
タックスヘイブンに関する「パナマ文書」を分析した国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は10日、約21万4000法人に関する情報をホームページに公開しました。日本からは、伊藤忠商事、丸紅や三木谷・楽天社長ら400以上の個人・企業の名前が上がりました。一部の大企業と富裕層が本来払うべき税金を払わず、莫大な金を租税回避。その一方で、庶民には大増税、こんな政治はもう変えましょう。
●超富裕層の徴税逃れを許すな
●消費税増税必要ない
タックスヘイブンは、法人税などがかからないか国際的に見て極めて負担が少ない国や地域で、パナマはその一つです。タックスヘイブンに企業を設立すること自体は違法でなくても、大企業や富裕層が通常の課税を逃れるためにペーパーカンパニーを設立し、利益をためこみ、課税を逃れることは、経済を著しくゆがめることになります。
今回リークされたケイマン諸島分だけで、日本からの租税回避金は55兆円で、2012年の税収45兆円を大きく超えます。他のタックスヘイブンを合わせると、数百兆円規模との話もあります。
本来、この金額が国内で正当に課税されていれば、消費税の10%への増税どころか、消費税そのものが必要なくなる額です。
「合法的」―それが問題
世界では、「パナマ文書」の公開を受け、各国の金融・課税当局が違法行為はなかったか調査を本格化させています。米ニューヨーク州金融サービス局は、金融大手のゴールドマン・サックスや仏BNPパリバなども調査しています。
アイスランドの首相が辞任に追い込まれ、イギリスのキャメロン首相が窮地に立たされ、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席らの名前もあり、大問題となっています。
オバマ大統領は、「タックスヘイブンの利用が合法的だからこそ、問題なのだ。被害者は大多数の一般市民だ」と述べています。
名前が挙がった中には、内閣官房参与の加藤康子氏が会長の会社の名前もあります。しかし政府は、「ご本人が調査して報告がある」と答弁する始末で、国税庁もやる気がありません。
日本政府は、富裕層の徴税回避による税金逃れの損失を、一般国民への消費税増税などの大増税で補填してきました。こんな政治許すわけにはいきません。
京都自治労連 第1872号(2016年5月20日発行)より