機関紙 - 委員長のあいさつ 憲法公布70年、その精神が生きる自治体をつくろう
京都自治体労働組合総連合
執行委員長
池田 豊
代議員のみなさん、大会参加ご苦労さまです。
東日本大震災、東電福島原発事故から5年が経ちます。震災直後、宮城県気仙沼市、名取市、岩手県陸前高田市に足をはこびました。その光景を目の当たりにすると再び立ち上がるのは不可能ではないかと思うほど壊滅的な姿でした。5年がたつ今でも約2万人、9千世帯が仮設住宅に住まざるを得ない状況が続いています。大会資料に岩手自治労連の仲間がつくったニュースが入っています。全国の仲間に支援の感謝とお礼、復興にむけて頑張っている姿を全国に伝えたいとして発行されました。
福島では原発事故によっていまだに9万人が避難生活を強いられる一方で、安倍政権は2020年東京オリンピックまでに復興を成し遂げる福島復興指針を策定しました。避難解除基準を変えて強制的に避難地域をなくす、補償金や県外避難者の住居費用負担廃止で経済的に避難を困難にし、無理やり帰還させる仕組みをつくっています。年間50ミリシーベルト以上の帰還困難地域だけが残され、立ち入ることができない地域として日本地図から消えてしまう状況になっています。
4月に発生した熊本地震は94の避難所で4692人が避難生活を余儀なくされています。
あらためて今起きている現実に正面から労働組合として、公務労働者として、そして一人の人間として向き合うことが必要です。自治体の役割やそこで働く私たち公務労働者が果たすべきものは何か、その鍵を握るのは宣誓書、憲法です。私たちは憲法を守り、そして擁護することを宣誓し、公務労働に携わっています。
11月3日に憲法公布70年を迎え、来年は京都自治労連結成70年を迎えます。憲法の精神が生きる京都をつくる運動を歴史と重ね合わせることが必要です。
アベノミクスの本質は国民・地域切り捨て
「創造的復興」の名の下でグローバル企業、大企業の儲けの対象として利益を生まない復興、被災者の生活支援を切り捨てる、これが今のアベノミクスの姿です。ローカルアベノミクスで公共施設の廃止・統合、都市機能の集中など企業が一番活躍できる国として効率よく利潤をあげる地域へ再編する、このことに本質的な狙いがあります。
被災地を何度も訪れ得てきたものは私自身のこの5年間の活動の糧になっています。地域住民の繁栄なくして自治体労働者の幸せなし、このスローガンを今一度考え、あらためて自治体労働者としての姿を深く掘り下げられるような議論をお願いして開会のあいさつとします。
京都自治労連 第1877号(2016年8月5日発行)より