機関紙 - 憲法が生きる京都を だれもが安心して暮らし・働ける社会の実現へ
安倍政権による社会保障への攻撃が強まっています。障害のある人々の暮らしを豊かにするため、制度の拡充を求め活動されている、きょうされん京都支部事務局長の西村隆史さんに、障害者の現状や支援の課題などについてお話を伺いました。
81%が年収122万円以下
2017年版障害者白書によると、全国で858万7000人の障害者の方がおられます。身体、知的、精神の3障害の数ですので、難病、潜在的な発達障害などにより、社会参加が困難な方を含めると、国民の10人に一人は何らかの障害をかかえていると推計されます。
障害の有無に関わらず、自立した生活を送るために経済的自立は欠かすことができません。しかし私たちの調査では、障害のある人の81%もの人々が、相対的貧困といわれる年収122万円以下の収入しかなく、この低水準は、社会の最下層に置き去りにされた人々と言わざるを得ません。
また生活状況も「親依存の生活」で、親との同居が過半数以上を占めていることも課題です。そこは、不十分な所得を親との同居で補っている実態が少なくなく、家族にとっては、経済面や身体面の負担ということになります。また、障害のある方が、自立した生活が送ることができない支援体制、制度の不備も指摘されなければなりません。
働き続けられる賃金を
さらに、障害者支援事業所の職員の賃金・労働条件が劣悪な状態のまま放置されており、実態の改善が必要です。私たちが、一昨年に実施した「緊急実態調査」における賃金は、大卒初任給の平均年収が275万円で、国の福祉職と比べ約23万円、大企業とは72万円もの格差が生じています。
職員のほとんどが「働きがいを感じる」としながら、人生設計や将来的展望が持てず、退職者が後を絶たないのが現実です。このような中でも、「障害のある仲間と一緒に生活していることが楽しい」「人として成長できる」などの思いがあるから、働き続けています。
切実、府独自の支援施策
私たちは、これらの問題解決に向けて、現在、5項目の国への請願署名に取り組んでいます。
2014年、障害者権利条約を日本が批准したことを機に、京都府は「障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例」(2015年4月施行)を作りました。この条例が、本物になる施策を私たちは府に求めます。
しかし障害者支援事業は国の法内事業のため、我々の要望に対する府の回答は、「国に言っておきます」の域を出ません。現在、雇用契約を結び利用するA型事業所の倒産が社会問題となっていますが、府は実態を十分に把握できていません。府民である障害者の暮らしが大変な現状だからこそ、府独自の支援の施策が切実に求められています。憲法25条がいきる京都府政を強く求めます。
京都自治労連 第1913号(2018年2月5日発行)より