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機関紙 - 憲法が生きる京都を 労務単価上昇を賃金に反映し若者に魅力ある建設産業に

憲法が生きる京都を 労務単価上昇を賃金に反映し若者に魅力ある建設産業に

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組合活動
 2018/3/27 18:30

全京都建築労働組合 酒井 仁巳さん

 今、建設産業に従事する労働者の減少が、大きな社会問題になっています。深刻な実態に国も重い腰を上げ、様々な施策を行ってきましたが、現場の労働者に届いていません。解決のために自治体の果たす役割は重要です。全京都建築労働組合の酒井仁巳書記長にお話を伺いました。

若者の建設業離れが深刻

 建設技能労働者は、1997年の455万人をピークに減り続け、現在(2016年)は326万人。そのうち55歳以上の高齢者層が113万人で、全体の3分の1を占め、一方、29歳以下の若年層は全体の1割程度。これでは、建設産業の技術・技能が次の世代に継承されません。例えば京都全体で、10代の大工は20人しかいません。このような中で、後継者不足から廃業する建設業者が年々増えています。

 若者の建設業離れの大きな要因に、低い賃金・労働条件の問題があります。

 賃金では、京都府の男性労働者の平均年収は552万円ですが、建設労働者は359万円です。また建設労働者は日給月給が基本で、雨が降れば休みの場合が多く、その分、賃金は減ります。これでは、いくら「モノづくりの魅力」と言っても、若者は関心を示さず、親も勧めたくないでしょう。

賃上げではなく、ゼネコンのふところへ

 私たちは、全国の仲間とともに国や自治体へ、賃金や労働条件の改善を求めて粘り強い運動を展開してきました。この間、国の認識は大きく変化して、2012年度以降、私たちの要求も反映した対策をいくつか行ってきています。

 その一つが、公共工事設計労務単価(以後、労務単価)の引き上げです。労務単価とは、公共工事において、工事費の積算をする上で、労務費を算出するために用いられる職種別の賃金単価。

 労務単価は、2012年度以降5年連続で上昇し、累計で日額5226円、29・8%も上がっています。2017年の労務単価は、日額平均2万2322円。約3割の賃上げとなれば、建設労働者の年収は、5年間で100万円以上あがっていなければなりませんが、実際は、日額600円程度の上昇に止まっています。

 その一方で、大手ゼネコンは過去最高益を更新し続け、4年間でスーパーゼネコン4社の利益率は48・6%も上昇。若者の入職や建設業の未来のために投入された血税が、本来の目的の賃金に使われず、ゼネコンのふところに入って「ぼろ儲け」しています。

府は現場労働者の実態調査を

 私たちは京都府に対して、府発注工事で労務単価の引き上げが、現場労働者の賃上げに使われているか、「実態調査」を行い、正しく活用されていなければ、是正を求めるよう強く要求してきました。

 しかし府知事は、労務単価が上がったのだから「上がっているはずだ」を繰り返し、実態調査を行おうとはしません。千葉県の我孫子市では、行政と業者が一緒に実態調査に取り組み、?これはひどい?と認識が一致し、労務単価を賃金に反映させるために、公契約条例が制定されるなどの経験が生まれています。

 労務単価を賃金に反映させることは、制度の趣旨を守ることであり、地域経済発展にもつながります。しかも府は、予算を使うことなく賃上げができるのです。

 自治体の担当のみなさんに理解してほしいのは、入札において、落札価格が低くなればなるほど企業が削るのは、まず人件費だということです。

 自治体は、使用者団体の声だけではなく、現場労働者の声を聞いて、労務単価の賃金への反映や公契約条例制定など、具体的施策すすめるべきです。


京都自治労連 第1916号(2018年3月20日発行)より

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