機関紙 - 「会計年度任用職員」問題?〈その背景〉 狙いは公務労働の大転換
昨年の通常国会で成立した地方公務員法及び地方自治法の一部改正法(以下「改正法」)は、自治体の臨時・非常勤職員の任用根拠の明確化と一定の処遇改善を内容としていますが、「改正法」の本質は公務のあり方を変質させるものです。
「改正法」は2020年4月施行となります。総務省は、昨年8月には制度導入にむけたマニュアルを示し、2018年度中には条例・規則改正を行うことを自治体に求めており、早急に取り組みの強化が必要です。そこで、3回シリーズで「会計年度任用職員」制度導入の問題点について明らかにしていきます。
増え続ける非正規職員
現在の自治体職場では、厳しい財政状況や政府・総務省による政策の誘導で、正規職員がどんどん削減され、非正規職員に置き換えられてきました。05年に304万人の正規職員が16年には273万人、10年余で30万人も削減されています。その一方で非正規職員は、45万人から64万人、10年余で20万人も増加しています。いまでは、公務職場の3割が非正規雇用の職員、中には職員の過半数が非正規雇用の職員が占める自治体もあるのが現状です。
多くの自治体の臨時・非常勤職員は、正規職員と変わらない仕事をしていますが、任用形態は、特別職非常勤職員、臨時職員など様々なものとなっています。また、賃金や手当では、臨時・非常勤職員への支給を認めていない手当があることなどから、処遇面では正規職員との大きな格差が生じています。この間、労働者なのに通勤手当や一時金などの諸手当が支給されないなど、様々な不合理を解消することをめざし、全国で仲間による裁判闘争などがたたかわれ、地方自治法の解釈を変えさせた判決も相次いできました。
処遇改善を理由にするが…
全国での臨時・非常勤職員の処遇改善の運動が前進するなかで、政府は、増大する自治体の臨時・非常勤職員の任用根拠の明確化をはかり、一定の手当支給など、処遇面での改善が必要になっているとし、今回の法改正を行いました。
(次号に続く)
京都自治労連 第1919号(2018年5月5日発行)より