機関紙 - 「いのちの水」が営利に利用されていいのか 〜福知山市職 緊急市民学習会を開催〜
9月3日、福知山市議会において、2019年度から水質検査や水道管の建設改良工事などを除き、水道施設の運転管理業務など、計54業務を民間1社に5年間包括委託する上下水道事業の包括的民間委託案が賛成多数で可決しました。
課題は民営化で解決しない
9月1日、福知山市職では、この問題を市民に知らせるために緊急学習会を開催しました。
講師の近藤夏樹さん(自治労連公営企業評議会事務局長)は、「1社に包括的に民間委託することは2001年の水道法改正で可能になり、委託が広がることで水道事業を運営するための人材とノウハウが、自治体から失われる」と指摘。次のステップとして、水道の「まるごと民営化」への流れが加速する危険性を強調しました。
近藤さんは、国が民営化の理由としている老朽施設の更新、技術継承、人口減少に伴う収益減少などの課題について、「本当に民営化で問題が解決するのか」と問題提起。民営化から再公営化が実施されているフランス・パリでは、住民が経営に加わる仕組みになっていることを紹介し、「水道は、生存権の保障にもとづく福祉。民間に任せていいのか、住民参加や自治体の公公連携など、問題解決の方法を再構築すべき」としました。
値上げ、災害対応、不安の声
参加された市民からは、「いのちの水だからこそ、公的機関である市役所が水道事業をやってきた。市民に説明もなく、こんな大事な問題を決めるなんて…」「心配なので、もっと情報がほしい」「将来、水道料金が上がるのでは」「災害時の対応は大丈夫か」「委託化の流れは、どうしたら止められるのか」などの発言が寄せられました。
福知山市職では、引き続き水道の在り方を市民とともに検討するとともに、臨職・嘱託職員の雇用の保障問題も含めて取り組みを強化しています。
京都自治労連 第1929号(2018年10月5日発行)より