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機関紙 - 2040構想と地方自治の課題 講師 本多滝夫氏(龍谷大学教授) 〜京都自治労連2019春闘討論集会学習会 12月22日〜

2040構想と地方自治の課題 講師 本多滝夫氏(龍谷大学教授) 〜京都自治労連2019春闘討論集会学習会 12月22日〜

カテゴリ : 
組合活動
 2019/1/25 17:20

 昨年7月、総務省のもとで策定された「自治体戦略2040構想研究会」(以後「2040構想」)報告は、地方自治そのものを否定し公務員の仕事を否定するもので、その先には道州制があり、安倍政権が狙う憲法改悪と並行して具体化されつつあります。京都自治労連は、12月22日の春闘討論集会で、龍谷大学の本多滝夫教授を講師に学習会を行いました。本多先生の講演の要旨を掲載します。

高齢化社会の自治体戦略

 総務省の「2040構想」報告では、我が国の人口が2008年の1億2880万人をピークに減少し、2040年には1億1092万人となること、高齢化が急速に進行し、2015年に3387万人であった高齢者人口は、2042年に3935万人でピークを迎え、75歳以上人口はその後も2054年まで増加し続けると見込んでいます。

 このような状況に対して同報告では、2040年頃に迫りくる我が国の内政上の危機を、?若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏、?標準的な人生設計の消滅による雇用・教育の機能不全、?スポンジ化する都市と朽ち果てるインフラ―ととらえ、2040年頃を見据えた自治体戦略の基本的方向を打ち出しました。

自治体を国の統治機関と位置づけ

 そこには、人口減少時代に合った「新しい社会経済モデル」を検討することが必要として、それぞれの自治体が土木行政や農林漁業、教育、福祉までのすべての責任を果たすという従来の「行政のフルセット主義」を排するよう求め、自治体の在り方を根本から変えようとしています。

 その主な内容は、?スマート自治体への転換、?公共私による暮らしの維持、?圏域マネジメントと二層制の柔軟化、?東京圏のプラットフォームです。

 2040構想の基本的な問題点は次の3点です。

  1. 「内政上の危機」を地方統治構造の改革で対応しようとしている=『内政上の危機』は地域社会や自治体が解決する課題として、その責任を負うかのような理論展開になっていること。
  2. 自治体行政を国(省庁)の施策を実施するプラットフォーム(OS)でしかないと見ている=地方公共団体を国家機構の統治機関の一つとして位置づけ、団体自治や住民自治、国民主権を無視した改革構想。
  3. ICTによる人員削減が、容易であるように見せかける=AIで半減された自治体職員で、災害に立ち向かうこと自体が机上の空論。

自治体が岐路に―公務労働者の出番

 2019年度総務省概算要求に、2040構想の推進として7・3億円が計上されており、すでに具体化がすすめられています。取り組みの強化が必要ですが、2040構想への対抗として、次の3点を強調したいと思います。

  1. 『理論上の対抗』:地方自治(住民自治・団体自治)の重視、2階層となっている地方自治(道州制ではない)の憲法的根拠の明確化、専門性に裏打ちされた公務労働による公共性の実現。
  2. 『政策・施策上の対抗』:ICTの活用政策と人員削減政策との切断、公的サービスの産業化の阻止、自治体間の対等・平等を前提とした自治体連携が必要。
  3. 『現場での対抗』:窓口業務委託の阻止、職場環境のホワイト化が大切。

 地方自治が重大な岐路に立たされている今、自治体労働者・労働組合の果たす役割は、決定的に重要です。みなさんのご奮闘に期待して、講演を終わります。


京都自治労連 第1936号(2019年1月20日発行)より

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