機関紙 - 生きることを優先する税制・税務行政を
生きることを優先する税制・税務行政を
京都府商工団体連合会
池田 靖事務局次長
私たちの全国組織・全国商工団体連合会は、毎年春の運動で「日本の税金」ビデオを作製し、みんなで見て、重税反対の歴史や日本の税制・税務行政の矛盾を話し合い、納税者の権利を守る運動に活用しています。
2010年版「日本の税金」では、大阪住吉民商の会員(貸室業)が固定資産税を払いきれず、毎月10万円を分納していたところ、大阪市から突然固定資産を差し押さえられ「10万円では話しにならない。耳をそろえてもってこい」と職員から一括納付を迫られて2009年3月自ら命を断ったことを紹介しています。京都府でも府税事務所から出産育児一時金を差し押さえられ、民商と一緒に粘り強く交渉して全額を返還させた事例が昨年発生しました。今、強権的な徴収行政が住民の命とくらしを脅かしています。
貧困が社会的問題になっている今、京都地方税機構を設立し1月から業務を開始しました。マスコミは「徴収率アップへ 地方税機構も始動」と報じました。(朝日1月5日付)先のビデオに登場した鎌倉市税務課職員は、「本来税金は民間の債務と異なり払える範囲で払っていただくもの。滞納者には納得できる滞納事由がある」と言い切り、滞納者の生活再建、納税緩和措置の活用を勧めています。
実際に北海道のある自治体資料によると税・保険料の未納者に占める所得200万円以下の人の割合が住民税71%、固定資産税75%、軽自動車税83%、国保料90%、介護保険料92%に達し、「払いたくても払えない」のが市民の実態です。
市民の貧困実態を無視して「徴収率アップ」のみを目標にした京都地方税機構は、市民と行政の間に大きな矛盾を作り出すことは明らかです。まして、国保料(税)の機構への移管は市民の命に直接関わる大問題です。地方税と国保料両方の滞納がある方が機構へ移管されればいくら国保料を充当してほしいとお金を払っても税優先で国保料滞納分には充当されません。この方は保険証はどうなるのでしょうか?誰が相談にのるのでしょうか?
私たちは「生きることが優先される当たり前の税制・税務行政」を求め、京都地方税機構の監視も含めて運動を続けます。
京都自治労連 第1720号(2010年1月20日発行)より