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機関紙 - あの人に会いたい2 京都民医連中央病院名誉医院長 京都大学医学部 臨床教授 吉中 丈志さん

あの人に会いたい2 京都民医連中央病院名誉医院長 京都大学医学部 臨床教授 吉中 丈志さん

カテゴリ : 
組合活動
 2020/4/8 17:30

3月16日のインタビュー、このため数値など状況の変化があります。

よしなか・たけし=1952年山口県生まれ。73年京都大学医学部卒業。京都民医連中央病院名誉院長、京都大学医学部臨床教授、全国保険医団体連合会理事、13年から京都府保険医協会理事。NPO法人メンタルサポート京都理事長。総合内科専門医、循環器専門医、社会医学系専門医・指導医、著書に:『仕事と生活習慣病』(経営者新書)など

新型コロナウイルス感染対策
命と暮らし守るため合理的な対策を一刻も早く

新型コロナウイルス感染拡大を、WHOがパンデミックと位置づけ、世界的規模で広がり大問題となっています。現状をどうとらえるのか、感染拡大を防ぎ、いのちと健康を守るために何が必要なのかについて、前京都民医連中央病院院長で、京都大学医学部臨床教授の吉中丈志先生にお話を伺いました。

――新型コロナウイルス感染、現状をどう見たらいいのでしょうか。

吉中 中国で12月下旬に始まって、現時点での焦点は、ヨーロッパ、アメリカになっています。日本では、毎日30人〜50人増え1000人を超え、爆発的に増える可能性に直面している段階です。
爆発的に広がっているイタリアでは、ベッドも医師や看護師も足りず、医療崩壊が起こっています。

最悪の状態をシュミレーションし対策を

今、必要なことは、日本で急速に患者が増えた場合にどのように対処するのか急いで計画を作らねばなりません。
厚生労働省が事務連絡で出してきたデーターに基づいて、京都の試算をしてみました。(下記表)

8600人の感染者全員が重症ではなく、8割が軽症で死亡率も高くないことを受け止めておくことも重要です。

感染症病床は、京都市内では府立医大の2床と京都市立病院の8床で全く足りません。増大する患者をどこで診るのか、急いで医療提供体制を検討する必要があります。すでに大阪などは出しています。

重症者の治療は、感染症病床や集中治療室。それ以外の患者は、感染管理ができている急性期病院になるでしょう。京都市内では2300床が必要という試算で、場合によっては軽症者はホテル等で対応ということもありえます。感染しているが、症状がない人は、自宅でという場合もあるのではないでしょうか。

擬陽性者隔離しない対策を

――PCR検査をどのように見ておられますか。

吉中 PCR検査の問題では、「陽性患者を隔離できる施設がない」「検査体制が整わない」など事情があって、広く対応していないと思われます。陽性患者を受け入れる体制は、早急に作ればできます。この問題が発生して3か月、日本は外国に比べて対応が非常に遅いと思います。

一方で重要なことは、擬陽性の問題です。検査で1%の擬陽性が出るとすれば、全府民検査をすれば、2万5000人もの擬陽性が出て隔離対象となってしまうのです。それをやってはいけない。そのためには、医師が診察して総合的にみて可能性が高い人に検査することが必要です。現在は、医師が検査必要と診断しても、検査の体制がありません。検査体制の強化が急がれます。

政府には、なぜ医師の診察を受けて検査なのか、国民が納得できる説明が求められます。

日本もCDCを、病床削減は撤回を

――専門家の意見反映に必要なものは。

吉中 海外だと、アメリカにはCDC(疾病管理センター)があり、微生物、感染症、公衆衛生などの多くの専門家が配置されています。中国や韓国にもあります。ところが日本にはない。日本も作るべきです。

地域医療計画には、今回の新型コロナのような新興感染症の項目がありません。地域医療構想で、病床を削減すればするほど、こうした感染症に対処できなくなる可能性があります。公立医療機関の病床を削減するのではなく、しっかりした体制を保っていくことが必要です。

日本の大きな問題は、間違いであったことを認めない。アメリカなどでは、間違いを認めて是正しています。現在の医療政策の転換が必要です。

――行政に求められるもの。

吉中 (1)マスクとか資材の確保、積極的に医療機関を支援してほしい。京大病院では、医師、看護師は一週間一枚です。マスクは、医療従事者を感染から守ると同時に、医療従事者が感染を広げないために不可欠なものです。

(2)医療、公衆衛生体制の強化です。府内の保健所は約半減、京都市内は、行政区の保健所を廃止、公衆衛生の専門家がいない。高齢者対応が重要なのに、介護人材など人手が足りない。

(3)地域経済への影響は深刻、安心して予防や治療に専念できる支援が必要です。また、京都は国際観光都市でもあります。外国人の人たちにも検査や治療が行き届くような配慮も必要です。

新型コロナで、死亡する人を少しでも少なくするために、一番合理的な対策が求められています。しかし、安倍政権の緊急事態宣言は、強権的発想が先行しすぎです。こうした危機の時こそ人権の擁護が大切になります。

ピーク時の患者数(人口は2016年国勢調査)

  京都全体
  内 京都市内 
感染症を疑って外来を受診 8617 4806
入院治療が必要 4403 2393
重症患者として治療が必要 148 81

 ※上記はいずれも1日当たりの患者数(人)


京都自治労連 第1961号(2020年4月5日発行)より

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