機関紙 - コロナ禍の介護現場 財政、物資の支援を早くこのままでは介護崩壊の危機
コロナ感染予防のためには、3密(密閉・密集・密接)を避けるよう言われていますが、介護の現場は、特に「密接」なしには成り立ちません。高齢者の感染は、重症化を招き命に係わるリスクが高く、クラスターが発生しやすい状況。それだけに、利用者・家族、職員は緊張の毎日が続いています。社会福祉法人七野会理事長の井上ひろみさんに、政府や行政への要望をお話しいただきました。
コロナ禍の介護現場
【利用者・家族の現状】
入所施設では、家族との面会や外部との接触は3ケ月にわたり制限しています。家族は、「認知症が進むのでは」と心配し、直接会えないもどかしさを抱えています。入所者は、買い物や、外出を楽しむこともできません。
【職員】
人員不足に加え、感染防止に時間が割かれ、きめ細やかなケアが出来ないジレンマに。福祉援助では「密接」は避けられず、自分や家族の感染と、施設に持ち込まないか不安と緊張が続き疲弊しています。
在宅支援ヘルパーは、50〜60代以上のベテランが多く、発熱者への支援に入ることもあり、常に感染の不安を抱え勤務しています。
自主的休業、離職者も出ています。離職者が増えると介護現場は崩壊します。新規就職も「危険」と親から止められるケースもあり、人手不足に拍車がかかります。
【防護具】
マスクは徐々に入荷していますが、サージカルマスクと消毒液は依然不足、エプロンやガウンの入荷なく、どの施設でも困っています。感染が起きれば、対応できない状態です。
このような中で、新規入所者の受け入れに慎重になったり、デイサービス利用者の自粛や利用回数減で、収入が大きく減っており、5月はさらに減ると危機感を募らせています。
政府・行政に求めるもの
十分な衛生材料の確保公費で危険手当の支給を
今、現場から訴えたいことは、いつ感染するか怯えながら利用者に向き合う全ての福祉・介護業者が安心して支援を続けられる施策は何か、一緒に考えて実行していただきたいということです。
介護現場では、今後継続した感染防止が必要なので、福祉介護現場にもサージカルマスク、消毒液、ガウンなど十分な量の衛生材料を、国、自治体の責任で支給してほしいです。
感染者がいる施設はもちろん、感染リスクの下で働く現場職員に公費での危険手当の支給を。
介護は、保険のルール(利用者の1〜3割負担)ではなく、社会福祉の施策としての具体化が必要です。
「切りすて政策」の転換を
政府の保健所削減、病院統廃合、感染症対策の後退、福祉・介護施設への報酬や委託費の削減など切り捨て政策が、感染症に対応できない状況を作っています。そのしわ寄せが、利用者や家族、市民、現場で命を懸けて働いている人たちに集中しています。政治で何を優先するのか、大きく転換しなければなりません。
介護・福祉施設の職員が、現場で何が起こっているか、何が必要なのかを「発信」しなければ、利用者や福祉従事者の権利や安全は守れません。住民の皆さん、自治体職員の皆さんと力合わせて頑張りたいと思います。
京都自治労連 第1963号(2020年6月5日発行)より