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機関紙 - あの人に会いたい5 龍谷大学経営学部教員 細川 孝さん

あの人に会いたい5 龍谷大学経営学部教員 細川 孝さん

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組合活動
 2020/7/6 17:20

ほそかわ・たかし=1962年 徳島県生まれ/1984年 愛媛大学法文学部 法学科卒業/1994年 立命館大学大学院経営学研究科博士前期課程修了/龍谷大学経営学部教員
編著:『日本の大学評価』晃洋書房/『「無償教育の漸進的導入」と大学界改革』晃洋書房
論文:「社会経営学からの地域産業へのアプローチ」


学生の学ぶ権利守るため自治体も積極的な役割を
コロナ禍 高学費問題と学生の負担軽減について


コロナ禍、新聞各紙に「バイト代や親の収入減で5人に1人の学生が退学を検討」の記事が取り上げられ、少なくない衝撃が走りました。『あの人に会いたい』今回は、高すぎる学費の引き下げや政府による教育予算の拡充を求める取り組みに、長年携わってこられた龍谷大学教員の細川孝さんにお話をお聞きしました。


――コロナ禍、学生の生活実態と大学はどのような状態ですか

細川 学生の状況ですが、龍谷大学で「コロナ蔓延に伴う学生生活への影響調査」を4月25日〜5月1日に実施し、4475人の学生から回答が寄せられました。短期間に、これだけの回答が寄せられたことは、学生の現状の深刻さと関心の高さの現れといえます。

回答では、"今後どのような影響があるか"の設問(複数回答可)では、「オンライン授業が不安」75.8%、「精神的なストレスを感じる」51.5%、「学費の支払いを含めた経済面が不安」48.6%となっています。"生計"の設問では、「アルバイトしなければ生計が立たない」28.9%などで困窮する学生の状況が現れています。

大学の授業は、オンラインで行われ、機器の購入やこれまでとは違った講義への準備など、学生も教員も大変苦労をしています。特に新入生は、入学式も、ガイダンスもない中で大学生活を始めています。就職活動は、1〜2ヶ月遅れており大変心配しています。

今、学生を苦しめている一番大きな問題は、世界的に見ても異常に高い日本の学費です。国立大学授業料は、標準額で年間53万5800円。私立大学(入学料除く)の文系が約94万円、理系では約130万円を超える学費が必要となっています。

一方、学費を負担している親の可処分所得は、1997年の624万円から2015年には527万円に大きくダウン。全国大学生協連の調査(2019年)では、下宿生の親からの仕送りの平均は月7万2810円。アルバイト収入は3万3600円。子どもを一人私立大学へ行かせるのに、下宿生の親は、最低でも年間200万円前後の負担が必要です。そして、足らない部分を、『奨学金』という名の金融ローンや自らのアルバイトで補っています。

学生のアルバイトもコロナ禍で不安定になり、経済的に追い込まれている学生が増えているといえます。

――今、大学がやるべきことは何だと思われますか

細川 全国の大学では、独自の給付型の奨学金とか、「就学支援金」「自宅就学支援金」等の名称で3万〜5万円等を出しているところもあります。
しかし、どこもやらないのが、根本の授業料や施設費を下げることです。

多くの大手私大が入っている日本私大連盟(大手私大を中心に125大学が加盟)が、4月27日に文科省へ『新型コロナ感染症拡大による大学への影響に係る緊急要望』を提出しました。

この『緊急要望』の第1項目に、授業料や施設・設備費の返還を求める学生らの声に対して「一部、誤った理解の下に行われている学費返還の動きに対して、文科省から明確な考えを表明していただきたい」と、授業料などを返納しない大学の立場に文科省のお墨付きを求めているのです。私は、これは違うと思います。

今、大学に求められているのは、コロナ禍から学生の学ぶ権利を守る確固とした立場に立ち、国に必要な財政支援を求め、学生・国民と一緒になって国を動かす役割を果たすことです。

日本のGDPに占める公的教育の予算の割合は、OECD平均の半分ぐらい。国が予算を出さない分を家庭が負担し、学生が奨学金という借金を背負わされているのです。
ヨーロッパに行くと、授業料は無償であったり低額で、返済ナシの奨学金が当たり前です。

ヨーロッパの学生は、よく学ぶと聞いたことがあります。社会によって授業料や学生生活が保障されているため、学ぶことを社会的責任として自覚していると言われます。日本の学生も、学んだことを社会に還元する社会的責任を自覚できる制度になれば、もっと勉学に打ち込むのではないでしょうか。

私は「大学はブラック企業」ではないかと思うことがあります。学生が卒業するときに、数百万円の奨学金の借金を背負って社会に出ることを前提に、大学が成り立っているからです。

日本政府は、今年の4月から「高等教育の無償化」という制度を導入しました。しかし今回の措置は、住民税非課税世帯とそれに準じる世帯のみが対象であり、限定的なものです。しかも、消費税の引き上げを原資にする、非常に不安定で、本来の趣旨からすると矛盾したもので、世界からかなり遅れています。

――自治体の学生支援策で、優れていると思われるものはありますか

細川 北海道の名寄市が、名寄市立大学の学生781人全員に一律10万円の支給を行っています。この支援策の注目すべきところは、名寄市民でない学生にも同額を支給しているとことです。市は、その根拠を「名寄市に大学があることが、市の経済や社会にとって大きなプラスになっている」として、学生を守ることが市の経済を支えるとの考えに立っています。

京都の学生は約15万人。同じことはできないかもしれませんが、現在京都市が取り組んでいる学生アルバイト雇用制度などは、いい取り組みと思います。

京都市長選挙で福山和人候補が政策に掲げた、京都市独自の給付型の奨学金制度や、地下鉄や市バスの定期券の割引制度など検討すべきではないでしょうか。自治体は、当事者である学生の意見を聞いて、何ができるのかぜひ検討し、学費負担軽減へ牽引車の役割を果たしてほしいです。


京都自治労連 第1964号(2020年7月5日発行)より

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