機関紙 - 保育:公立保育所の役割 保育士の働きがい…家庭にいるときと同じ、普段着のまま 子どもと保護者に安全と安心を提供したい
「新しいところに引っ越しをしたい」「住宅を購入したい」と居住地域を選ぶときの条件は、通勤などの交通網や生活環境と合わせて、保育所や学校など子どもの教育環境だと言われています。一方で、保育所の廃止や統廃合、民営化…保育所の話題が、地域の行政や議会のニュースに載らないことはありません。
子どもに関わって仕事がしたい
Aさんは城陽市の保育士として就職して3年目。現在は市立鴻の巣保育園に勤務しています。「子どもに関わって仕事がしたいと思って、四年制大学で小学校教諭と幼稚園教諭の免許をとりました」と話すAさん。卒業後は、大手の学習塾で働きますが、不規則な勤務などで体調を崩し退職。学童保育のアルバイトを始めます。「保護者の方々が、フルタイムで働きながら子育てをする姿に感銘を受けました。子どもだけでなくその保護者も応援できる仕事をしたいと思いました」。Aさんは短大に進学し保育士の資格をとります。卒業時の就職活動では、自分自身も家庭をもち働き続けたいと考え、公立の保育所への就職を第一希望にしたそうです。
様々な年代の保育士がいる安心感
城陽市の保育士となったAさん。今年度は、0歳から1歳の子どものクラスを担当しています。鴻の巣保育園では、8時半から17時までの勤務を基本に、早番と遅番の3つのシフトで勤務にあたっています。「子どもからは目が離せません。正規雇用の先生の人数もギリギリですから、早朝や夕方以降はパートの保育士さんに入ってもらって、協力し合いながら事務仕事もこなします。思っていたより事務仕事が多いですね」と笑うAさん。自らの業務報告だけでなく、子ども一人ひとりの記録、保護者への連絡ノートなど、「個人記録は特に子どもの成長が詰まっているので感慨深いですね。先輩の記録を見ながら子ども一人ひとりの保育方針を引き継いでいきます。貴重です」「保護者の連絡ノートの書き方や対応の仕方など、幅広い年代と経験を持っている先輩方の対応が保護者への安心を与えていると感じます」と保育園の魅力とAさんのやりがいを話してくれました。
コロナ禍で緊張感
保育の工夫で乗り切りたい
コロナ禍で、通常とは異なる対応に保育士皆が細心の注意を払って仕事しているとAさんは言います。「城陽市の保育園は、緊急事態宣言が出たあとも開園し、子ども・保護者をサポートしました。コロナ対策の通達などはきちんと伝えられましたが、保育園は『3密』だらけの職場。0歳児担当ですから、子どもを抱かないわけにはいかない。子どもが楽しみにしていた行事なども中止になりました。園内での過ごし方から遊ばせ方まで、職員みんなで工夫して、子どもの不安感や保護者の不安を和らげています」と自信と緊張が入り混じった口調で現場の様子を伝えてくれました。
普段着に着替えて仕事
子どもが家庭にいる感じを
保育園は単なる子どもを預かるところではありません。様々な子どもとその家族に対する福祉サービスの場です。保育士は、子どもの発育や保護者対応、安全衛生管理など様々なことを学び身につけなければなりません。Aさんは「保育園では、エプロンやジャージを着ません。普段着と変わらない服装で仕事をしています。保育室に過度の装飾も行わない。子どもが家庭にいるときと同じ感覚で過ごせる環境づくりを心がけています」と城陽市の保育園の特徴を教えてくれました。「大学、短大と教育や保育について様々なことを学んできましたが、現場に出るとわからないことばかり。地域の歴史や特徴もあります。先輩の対応やアドバイスは本当に役立っています。私も引き継いで、長くここで働いていきたい」と笑顔で思いを話してくれました。
京都自治労連 第1969号(2020年12月5日発行)より