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機関紙 - あの人に会いたい13 左京『連帯ひろば』実行委員会事務局 伊藤 英利さん…コロナ禍に生活支援を取り組む

あの人に会いたい13 左京『連帯ひろば』実行委員会事務局 伊藤 英利さん…コロナ禍に生活支援を取り組む

カテゴリ : 
組合活動
 2021/5/11 20:06

いとう・ひでとし=1972年愛知県生まれ
1997年京都市立芸術大学大学院卒業
同年(有)京都造形センターにて建築業に従事、2009年より全京都建築労働組合の書記局として従事する。


 "困った時は区役所へ"を
発信し実効ある支援施策を

新型コロナ感染拡大は、3回目となる緊急事態宣言が発令されるなど、住民の暮らしと命を脅かし、とりわけ、社会的弱者にしわ寄せが集中しています。そのような中で、様々な支援の取り組みが全国でも京都でも広がっています。昨年、12月から左京区の各地で「食料提供と相談会」を行い、寄せられたアンケートや聞き取り調査をもとに、区役所への申し入れ・懇談会に取り組んでいる『左京連帯ひろば』の伊藤英利さんにお話を伺いました。

――なぜ、『連帯ひろば』に取り組まれることになったのですか

伊藤 『連帯ひろば』の元になっているのが、左京地区労などがリーマンショックの時に始めた年2回の『なんでも相談会』です。経済が一定落ち着いてくると、相談に来られる方も少なくなり、どうすれば困っている人に情報を届け、支援活動につなげることが出来るのかが大きな課題でした。

コロナ禍で、非正規労働者の首切りや、困窮する青年・学生の実態が報道され、全国各地の食料支援や相談会には、たくさんの方がみえていました。

会議では、「もっと困っている方がいるのに、我々とつながりがないから、支援活動の姿が見えていない」「工夫次第で取り組みを知らせることはできる」「もっと協力者を地域に作ることが必要」などの意見が次々と出て、取り組みの改善を行ってきました。

地域の飲食店やスーパーにも、ポスターやチラシ、物品提供のお願いをしました。「よい取り組みですね。協力させてもらいます」と、ドンドンつながりが広がりました。また、大学でも、チラシの配布や声掛けをしてくれる学生も出てきています。

短期間で、『連帯ひろば』は、地域ごとに実行委員会が結成され、労働組合や女性団体、市民団体と様々な個人の方が担い手として参加をしていただき、広い取り組みへと発展しています。昨年の12月から、8会場で開催し、500人以上の方に食料の支援や相談活動を行ってきました。

――これまでの中で、伊藤さんにとって転機となった相談はありましたか

伊藤 印象的だったのは、『連帯ひろば』の会場に京建労の組合さんがご夫婦で来られたことでした。私には、すごくショックでした。ご主人が病気で働くことが出来なくなり、奥さんがホテルの清掃の仕事をされていたのですが、コロナでホテルの利用客が減り、清掃の仕事も減って経済的に困り、病気の治療費にも事欠いておられたんです。これまでも「生活保護を受けられるよ」と話はしていた方です。ところが実際に困った時に、地域で誰に相談したらいいのか分からない。つてのない人たちに、私たちが役割を果たさなければならないと深く思いました。

相談会では『なんでも相談アンケート』で対話をし、実態をつかむようにしています。「食費と成長期の子どもたちの服や学用品を買うので精一杯。自分の服は買えない」(シングルマザー)「お客さんが来なくなり水道料金の支払い猶予を受けている」(飲食店店主)「フリーランスで舞台照明の仕事をしていたがコロナ禍で仕事が無く、貯金を取り崩して生活している。いつまで続くか不安」(40代女性)など、本当に深刻な声が寄せられています。

『左京連帯ひろば』実行委員会では、毎回反省会を開いて、良かった点や改善点を話し合います。「こちらから結論を押し付けていないか」「もっと、活用できる制度を勉強してレベルアップが必要」等の意見が出されます。回を重ねるごとにみんなが思うのは、「本当に困っている人こそ悩みを話せない」ということです。2回3回と顔なじみになって、初めて話していただけた方もありました。実行委員会のレベルアップも必要と、『お困りごとを聴くためのヒント』講座の体験学習会にも取り組みました。

実行委員会で確認したのが「食料を届けるだけでなく、地域の人々の暮らしの大変さをきちんと聞き取って、ちゃんと行政に届ける」ことを取り組みの主体にすることでした。

――左京区役所への要望申し入れと懇談を行われたんですね

伊藤 『なんでも相談アンケート』で対話をして寄せられた声をもとに、6項目の要望書を作成し、2月9日に左京区長宛に申し入れと懇談を行いました。

「生活保護制度や休業支援金制度など活用できる様々な給付金制度があっても、困っている人は、日々の生活で精いっぱいで、困った時にどこに相談すればいいか分からない」「『困った時は区役所へ来てください』と発信し、ワンストップで申請までつなげる役割を果たして欲しい」、そのために区役所業務の改善や、職員の増員を要望しました。

区役所の副区長さんには丁寧な対応をしていただいたと思いますが、私の感想は、コロナで困窮している市民がいることに対する認識が希薄に思えました。たとえば、京都市の減免の申し入れがどれだけ来ているかについてとか、生活保護の申請についても把握されておらず、明確な答弁をされませんでした。「自分たちが、困窮者を救える機関なんだ」という認識が欠落しているのではないかと思ってしまいました。

その一方で、職員の皆さんも大変だと思います。いろんなサービスを委託され、市民の実態が見えなくなっているのではないでしょうか。様々な申請や行政サービスの受付を派遣職員が行なったり、委託に出しておられます。これでは住民の生活の実態を肌で感じる機会が奪われ、住民がどんなに困っているのか、どんなサービスを求めているか分からないのではないでしょうか。

――これから行政に求められることはどのようなことですか

伊藤 本当に仕事が途絶えたり、無くなったりするのはこれからだと思います。国がちゃんと保障することをしないと、地域で倒産も増えてくると思います。国に対してもっと強く支援制度を求めるとともに、行政として何ができるのか、もっと市民のところへ、現場に足を運んで把握し独自政策を実施して欲しいと思います。


京都自治労連 第1974号(2021年5月5日発行)より

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