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機関紙 - あの人に会いたい17 京北の合鴨農法農家 杉本 良雄さん…力合わせて、京北の美しい自然と暮らし守りたい

あの人に会いたい17 京北の合鴨農法農家 杉本 良雄さん…力合わせて、京北の美しい自然と暮らし守りたい

カテゴリ : 
組合活動
 2021/10/5 13:10

すぎもと・よしお=
1947年 新潟県十日町市生れ
新潟大学卒業後 京都府立高校に勤務
現在 京北農民組合事務局長、
京北革新懇副会長


ヒ素含む膨大な残土は脅威
京北に新幹線はいらない

北陸新幹線の敦賀―新大阪間の延伸計画は、2023年にも着工しようとしています。残土問題などの環境破壊、建設費が2兆1000億円以上で京都の負担額は不明のままなど、問題が山積みです。住民の暮らしにどのような影響があるのか、着工ルートである京都市右京区京北中江町の杉本良雄さんを訪ねてお話しを伺いました。

――豊かな自然の京北の暮らし、地域の課題についてお話しください

杉本 私は、豪雪地帯で有名な新潟の十日町市出身です。大学を卒業し、京都にあこがれて教員採用試験を受け、最初の赴任先が北桑田高校で、そこで家内と知り合い結婚して京北町で暮らすようになりました。半世紀以上経っています。

2014年に教員を退職して、農業と京北農民組合などの取り組みをしています。

現在、稲作6反、全て合鴨農法。畑作は5アール、全て無農薬です。山菜栽培、果樹、キノコ、鮎漁、養蜂(日本ミツバチ)、林業なども行っています。

特に、1993年に合鴨農法による稲作との出会いで、より農業が楽しくなりました。田植えが終わった田に、合鴨のヒナを放し飼いにして、雑草や害虫などを食べてもらう農法。とにかく合鴨がかわいい。稲の成長とともに合鴨も成長します。合鴨農家の収穫祭では消費者で賑わい、新米や鴨料理など大好評です。

世界では、農業の大規模化が農業破壊と貧困を招いていることが明らかとなっています。国連は、大規模化から家族農業に明確に舵を切り、「国連家族農業10年」(2019年〜2028年)を定め、各国が家族農業推進の施策を進めることを求めています。

しかし日本では、補助金が出るのは農業の大規模化、工場化、IT化です。農家が離農する大きな要因が、農機具の買い替えです。トラクターやコンバインに数百万円の借金はできず、離農・耕作地放棄の原因です。小規模農家、兼業農家への手厚い施策が必要です。

――北陸新幹線延伸で、京北の皆さんが心配されていることはどのようなことでしょうか

杉本 第1に、小浜ルートの美山、京北の地層には大量のヒ素がある可能性が指摘されています。ヒ素は、水銀・カドミウムなどと同様に摂取すると生体への影響が大きく、自然界では主に岩石や土壌中無ヒ素として存在。空気や水に触れると猛毒の「亜ヒ素」に変化します。産業技術総合研究所の資料によれば、京北でヒ素を検出したデータがあり、北海道新幹線で大問題になったように、あいまいにはできません。

第2に、莫大な量の残土問題があります。敦賀〜京都間の新幹線は、その8割がトンネルで、美山で182万トン、京北で200〜300万トンの残土が出るとされています。

今年7月の熱海市の残土流出事故では、130戸の家が押し流され、たくさんの方が亡くなりました。私たちにとって他人ごとではありません。

また、この残土を運ぶ大型ダンプカーが、京北の中を走り回る交通問題も心配です。工期は5年、大量の残土は、工事全体で10tダンプカー160万台と言われています。

第3に、いのちの水、上桂川の水の問題があります。大規模なトンネル工事で、地下水脈への大きな影響が考えられ、水量が減ると稲作や鮎漁も大きなダメージを受けます。

第4は、2兆1000億円以上の建設費です。府・京都市の負担額は、明らかにされていません。京都市は今、財政危機と言って住民サービスの削減を強行しています。そのお金を、建設費に充てることなどあってはならないことです。

――北陸新幹線延伸問題に対する住民の皆さんの取り組みについて教えてください

杉本 私たちが指摘する問題点について、「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(以下「機構」)は、何もまともに答えていません。

京北地域で説明会が実施されない中、2020年1月、「京北に新幹線が通る?を理解する会」が結成され、住民運動が広がり、「機構」、自治会、行政、市議会議員などに働きかけ、2020年10月と11月に2回、機構の説明会を実施させました。第1回目は159人、2回目が103人の住民が参加。嬉しいことに会場には若い人が多く、自分から意見を述べ、説明会では次々と手が上がりました。

この説明会の実施を呼び掛けるビラも、自分たちで作り全戸配布しました。自治会の中には説明会に参加し、その内容を全住民に広報するところも生まれています。しかし、まだまだ圧倒的多数の住民には事実が知らされていません。そこで、二回目の全戸配布となる「北陸新幹線京都延伸を考える市民の会」作成のビラを、この夏、京北地域で配布しました。

――行政への要望をお聞かせください

杉本 北陸新幹線延伸問題では、府知事や京都市長は国言いなりになるのではなく、リニア新幹線問題できっぱり反対を表明している静岡県知事の様に、住民の立場に立ってその責務を果たして欲しいですね。

それから、地元をよく知っている職員を京北支所に配属して欲しいですね。京北には55の集落があります。災害の時など、地元のことを知らないと、機敏な対応はできません。

もう一つが、地域に財政的裏付けのある権限を与えてほしいです。中山間地の基幹産業である農林漁業の声をよく聞き、実態に合った施策を実施して欲しいです。

今、京北は、Iターン・Uターンにも人気があり、利用できる空き家がほとんどない状態です。京北の豊かな自然と暮らしにあこがれて新たに住民となった皆さんとも力を合わせて、素晴らしいふるさと京北をつくっていきたいです。そのためには、自治体職員の皆さんの力が必要です。


京都自治労連 第1979号(2021年10月5日発行)より

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