機関紙 - 【子育て支援】専門知識と経験で地域の子育て支援にあたる 多くの専門家と連携して親子を支える…かかわった子どもの健やかな成長が嬉しい
子どもの貧困や虐待が、テレビや新聞などで報道され、大きな社会問題となっています。
2020年4月に児童福祉法とその関連法などが改正され、各自治体では、課の新設や専門スタッフの人員増を行い、虐待問題への対応と対策に力を入れています。
今回は亀岡市こども未来部子育て支援課で、家庭児童相談員としてがんばっているCさんに仕事の内容と、やりがいやおもいなどをお聞きしました。
児童虐待を未然に防ぐ取り組みに奔走
「相談員ですが、相談を受けるだけではありません」と話すCさんは、子どもの虐待を未然に防ぐ目的で各自治体に設置されている要保護児童対策地域協議会の事務局を担っています。
事務局には、地域や関係機関から児童が虐待を受けている兆候が見られた場合の「通報」が寄せられてきます。その通報の内容を調査し協議会で議論して、見守り対象=「案件」として登録、見守り・支援の取り組みがスタートします。この案件は亀岡市だけでも数百件になります。「亀岡市は、若い子育て世代の人口が増えていて、法律の改正もあり、その他の子育て支援の施策と合わせて力をいれています」とCさん。最近は、警察からの通報も多いといいます。「派手な夫婦喧嘩をして、ご近所さんが警察に通報したり第三者の介入を求めて自ら110番する場合です。そこに子どもがいると『子どもに精神的苦痛を与えた』として警察から児童相談所に通報が入ります。府の児童相談所から依頼を受けて事務局に調査依頼があります。夫婦喧嘩もですが、児童虐待についてまだまだ知られていないことが多いです」と話します。
これら通報を調査するのもCさんの仕事です。「虐待とはいえないケースも多いですが、未然に防ぐことが重要なので、小さなことも見逃さないようにしています」とCさん。関係機関へ聞き取り調査をしたり、場合によっては家庭を訪問することもあります。「子どもや家族の未来や人権にかかわる問題なので、慎重に行います。これまでの経験も役にたっています」と話す顔が引き締まります。
虐待をなくしたい親子に寄り添い支える
Cさんは養護施設の保育士として働いていましたが、虐待児童の受け入れが増える中で、もっと専門的な支援ができないかと、学校に再入学して精神保健福祉士の資格をとって、精神科のソーシャルワーカーとして経験を積んできました。「もともと子どもにかかわる仕事がしたかったので、京都市の子育て支援相談の嘱託職員募集をみて、今と同じ相談員として働き始めました」とCさん。一昨年の会計年度任用職員制度がスタートする際に京都市では、業務見直しが行なわれ、支援業務に関われなくなったため、亀岡市に転職しました。
経験者とはいえ、見守り対象になった家庭に対しては、相談員として、面談したり、様々な支援制度を案内したり、孤立させないように寄り添う大切で大変な仕事です。「親や親戚、近所づきあいもないと相談相手もなく、一人で子育てしているとしんどくなります。子どもが言うことを聞かないとか泣き止まないとかで思わず手をあげてしまうケースが多いです」「最近は、ネットで『うちの子はすごい』とか『子どもにこんな事をしてあげた』とかの情報ばかりをみて悩んでしまう」とCさんは心配します。相談員だけでなく、保健師や保育士、学校の先生など誰かが見守り対象者とつながっていることが大切で、そこには各機関と連携が重要です。自治体という公的機関だからできる「住民福祉」とCさんは考えています。
「児童虐待」という厳しい事案で、気を遣う調査や各機関との調整、相談、事務仕事と多忙なCさんですが「もっと経験を積んで保護者に寄り添った支援がしたい」「ときには開き直るのも大事」と笑顔で話す姿に、仕事への誇り・やりがいを感じました。
京都自治労連 第1981号(2021年12月5日発行)より