機関紙 - 国いいなり ふるさと・まち壊しはごめんです…住民の願いに寄りそう府政を
コロナ禍による地域経済の落ち込み、原油高騰など相次ぐ物価上昇、医療・社会保障の改悪など、府民の暮らしは深刻です。今、府民の声に耳を傾け、政府の悪政の防波堤となる府政が必要です。ところが現知事は、全国で破綻している大型開発優先の施策に前のめりです。府民のいのちや暮らし、地域経済を守る府政への転換が求められています。今年は知事選挙の年、府民の願いに寄りそう京都府政に変えましょう。
府内には要求がいっぱい
出番です 自治体労働者労働組合
【京都市京北・新幹線延伸】
京北の合鴨農法農家 Iさん
環境破壊と財政破綻
北陸新幹線延伸は歴史的愚策
京都府を縦断する北陸新幹線延伸(敦賀―新大阪)計画は、その8割以上がトンネルです。莫大な量の残土が出て、熱海市で起きた大規模災害の発生や、地下水を含めた環境破壊が起こるのではないか、工事費が2兆円といわれているが、府の負担がいくらになるのか、など心配の声が出ています。ところが、政府も京都府もこうした住民の心配や不安の声に何も答えようとはしていません。
その一方で、工事着工に向けた、環境アセスメントの本格調査に取り掛かろうとしていますが、南丹市美山町の田歌区では「説明が不十分」として調査を拒否しています。ヒ素を含む膨大な残土で環境破壊が心配される京都市右京区京北では、重大問題を共有するビラが2回にわたって全戸配布されるなど、反対世論が広がっています。
京都新聞世論調査では、「延伸する必要がない」41.6%、「ルートを見直すべき」18.4%で、合わせると6割の府民が計画を認めていません。
北陸新幹線延伸は、環境破壊と財政破綻をもたらす歴史的愚策です。今こそ、北陸新幹線延伸を中止する京都府政が必要です。
【中山間地・地域医療】
福知山市大江町在住 Jさん Kさん
"いのちの砦"なくさないで
政府は、コロナ禍にもかかわらず、公立・公的病院の統廃合を含む病床削減を強行しようとしています。京都では、舞鶴赤十字病院、市立福知山市民病院大江分院、国保京丹波町病院、国立病院機構宇多野病院の名前をあげて圧力を強めています。
しかし、どの医療機関も地域住民にとってはなくてはならない"いのちの砦"です。「車に乗れない年寄りはどうすればいいのか」「子どもの急な発熱に対応できない」「過疎化に拍車がかかる」などと心配の声が広がり、「病院守れ」の声が大きくなっています。
さらに、4病院以外でも医療法人運営の美山診療所が南丹市国保南丹みやま診療所となり、美山住民の反対の声を押し切って、老健施設病床15床を削減、一般病床4床(現在:看護師不足で限定的運用)だけになり地域医療が大きく後退しています。
また、75歳以上の窓口2割負担など相次ぐ医療・社会保障の改悪に対し、府民を守る独自施策をすすめる府政が求められています。地域医療を守り拡充するため、政府に医療削減方針の白紙撤回を求め、医療体制を抜本的強化する京都府政が必要です。
【自治体・大幅増員】
いのちと健康・くらし支える自治体病院・保健所の大幅増員を
新型コロナ感染者の約7割を公的・公立病院が受け入れています。ところが政府は、長年にわたって病院も医師・看護師も削減してきました。コロナ病棟の看護師は、緊張感の中で長時間労働を余儀なくされ、家族への感染の不安を抱えながら勤務。また、一般病棟をコロナ病棟に変えたり、人員の応援派遣で人手が足りず入院抑制を余儀なくされるなど、他科の診療へも大きな影響が出ています。
京都府内の保健所は、府は12ケ所が7ケ所に、京都市は11ケ所が1ケ所に統合されました。そのため、コロナ感染者の拡大に対応できず、月200時間、300時間の超勤を余儀なくされる保健師が相次ぎ職場の混乱をきたしています。医療機関の拡充、保健所を削減前に戻し、医師・看護師・保健師の大幅増員は、今、緊急に必要です。
自治体では、コロナ禍がもたらした経済的被害から住民の暮らしと営業を守ることが求められています。打撃を受けている観光や飲食などのサービス業、中小零細企業への支援、保育や介護・福祉への支援、解雇された労働者への支援など課題はたくさんあります。しかし、限界まで削減された人員体制のもとでは、本来の役割が果たせません。
今こそ、国に人員削減政策の見直しを強く求め、増員に向けて各市町村を支援する京都府政が必要です。
【京都経済の主役・中小零細企業】
丹後民主商工会事務局長 Lさん
コロナ不況に直面する中小零細企業を支える府政を
コロナ禍以降、飲食業や観光業が打撃を受けるだけでなく、製造業でも機械金属では半導体不足のあおりで製作するものによっては受注を大幅に減らし、丹後ちりめんの生産量は最盛期の100分の1に落ち込んでいます。さらに今年は、米価の下落も深刻さを増し、地域経済を維持することがますます困難になっています。
加えて、コロナ対策の日本政策金融公庫の無担保無保証の制度融資(最高3000万円)の返済が2022年度から始まります。融資先の事業が改善し返済できるのか心配です。
また23年10月から、インボイス(適格請求書)制度が始まります。これまで免税業者だった丹後ちりめんの機屋や代行店などが、課税業者となって新たな消費税負担を強いられるか、インボイスを発行できずに取引から排除されるか厳しい選択が迫られており、これを機会に廃業が増えるのではないかと心配の声が広がっています。
日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、中小企業家同友会、日本税理士会連合会などから、インボイスの「実施の延期・中止」を求める要望が政府に出されています。
京都府が、伝統産業や中小零細企業・業者を守る立場に立って、インボイスの延期・中止を政府にはっきり求めることが必要です。
【丹後地域・風力発電】
丹後半島の野山を守る会 Mさん
丹後の山岳地帯に巨大風車40基
建設の是非は住民の声を反映して
気候危機打開のために再生可能エネルギー普及は緊急課題です。しかし、住民合意抜きの乱開発をすすめてもかまわないということではありません。
今、丹後半島の山岳地帯の尾根を中心に、複数の事業者が合計40基近い風力発電施設の建設を計画しています。高さ130m〜180mの巨大風車(京都タワーホテルの先端から地上までが131m)。一基あたりの造成工事は3〜4千m2にのぼり、山を削り、大量の残土が生まれます。「貴重な自然や多様な生態系が破壊される」「河川の汚染や、熱海のような土砂災害の危険が高まる」「景観が破壊される」など不安の声が広がっています。
「丹後半島の野山を守る会」は、京都府や業者に、地域住民の不安や心配の声を真摯に受け止め、建設の是非が住民の声を反映したものとなるよう求めています。
現在、住民に状況を知ってもらうビラの新聞折り込みをしています。
今後の運動のための資金を作るための支援をお願いします。
京都自治労連 第1982号(2022年1月5日発行)より