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機関紙 - 【北山エリア開発】北山エリア開発は見直しを…開発型府政から持続可能な地域づくりを支援する府政へ

【北山エリア開発】北山エリア開発は見直しを…開発型府政から持続可能な地域づくりを支援する府政へ

カテゴリ : 
組合活動
 2022/1/5 9:20

今、京都府がすすめる北山エリア整備基本計画の見直しを求める声が急速に広がっています。整備計画の問題点や運動の経験・課題について「京都府立植物園整備計画の見直しを求める会」の共同代表である鯵坂学さんに、福島功委員長がお話しをうかがいました。


あじさか まなぶ
同志社大学社会学部名誉教授
著書に「世界に学ぶ地域自治」(共編著・2021学芸出版社)など


福島:あけましておめでとうございます。

鯵坂:おめでとうございます。

福島:鯵坂先生と植物園とは、どのようなつながりがあるのですか。

鯵坂:私の自宅は、植物園から歩いて5分ほどのところにあり、子どものころから植物園が私の癒しの場所で、今は孫と毎週のように訪れています。そこが、壊される計画が進んでいることに、いてもたってもいられず、住民の皆さんと一緒に運動をするようになりました。

福島:北山エリア整備計画の問題点についてお聞かせください。

鯵坂:府立植物園は、1924年に開園した日本で最も古い歴史ある公立植物園です。 

私たちは、次のことが問題だと指摘しています。

第一に、植物園が縮小改変されることです。計画では、植物園の周辺を削り、出入り自由な賑わい空間とし、商業施設の誘致、芝生広場にイベントが出来る野外ステージを作るとしています。これでは、植物園が単なる緑地公園になり、「生きた植物の博物館」として機能しなくなってしまいます。

第二に、学生数約2000人の府立大学の敷地内に、1万人を収容できる巨大アリーナを建設し、スポーツイベントや音楽イベントにも使用する計画です。これでは学生の学ぶ環境が破壊されます。

第三に、旧資料館跡地などを使って、シアターコンプレックスやコンベンション・ホテル・賑わい商業施設を建設しようとしていることです。閑静な地域の生活環境、教育環境、またエリア全体の景観に計り知れない影響を与えます。

福島:北山エリア整備計画の見直しを求める署名が10万筆を超えるなど、府民的な取り組みが大きく広がっていますね。

鯵坂:私たちは、植物園ウオッチングや前園長の講演会・学習会などを開催し、毎週土曜日に、植物園門前で宣伝・署名活動を行っています。

また、府立大学のみなさんの中に、「府立大学学生有志の会」が結成され、取り組んだアンケートには250人を超える学生の声が寄せられています。運動をもっともっと広げ、20万筆を超える署名を集め、府に見直しを求めたいです。

福島:現在の府政は、府民の声を聞かず、中央政府や開発企業の目線からの開発をしているように思えますが、先生が感じておられる京都府政の問題についてお聞かせください。

鯵坂:私たちは、今回の問題で府行政の大切さを実感できました。

北山エリア整備計画の根底にあるのは、京都府民の発想ではなく、国や東京資本の考えです。それに知事が従っている。京都府出身の知事と聞いているのに残念です。

府が北山エリア地域の整備の検討をはじめたのは2009年のようですが、西脇知事となってからは、そこに東京の大手不動産関係者が委員に入り、人を呼び込んで商業施設を作り、金儲けをする構想へと大きく変化しています。

この背景には、財界のスポーツ25兆円市場化戦略や、大阪・関西万博と一体の開発計画があると考えられます。「ドンドン開発して、人が集まって賑わいさえすればお金になる」という発想です。今は、コロナ禍でもわかったようにそういう方向ではなく、持続可能な社会・地域をいかにつくるかが問われているのです。知事はいまだに破綻した考えに固執し、住民の声を聞こうとはしていません。

福島:自治体労働組合運動への期待について一言お願いします。

鯵坂:今回の我々の運動の経験からいえることは、自治体労働組合・府職労の皆さんの支援なしには運動は続かなかったと思います。府に要求書を提出し交渉するなどのやり方が、市民だけでは分かりません。毎週のようにミーティングを開いていますが、府職労の役員の方にいつも参加してもらっています。府や国の最新情報を教えてもらい、色々皆が話したことを整理して、運動論的にアドバイスをもらっています。この力なしには、私たちの運動は持続できなかったと思います。

住民の様々な要求運動と行政のプロとしての自治体労働者との協力関係が広がれば、もっと住みよいまちづくりが進むと思います。そういう潜在力を、皆さんは持っておられる。ぜひ住民の中に足を踏み出して、持続可能な地域づくり、みんなが笑顔で暮らせるまちづくに力を貸していただきたいですね。

最後に、北山エリア開発の見直しを 求める署名を、府内全域でぜひ広げてください。

福島:自治体労働者・労働組合の役割のお話に、身が引き締まる思いです。私たちも、住民の皆さんのご期待に応えられるよう2022年大いに奮闘したいと思います。


京都自治労連 第1982号(2022年1月5日発行)より

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