機関紙 - 府民のいのち・健康守る…京都府政に転換を《上》…減らされた保健所を元に戻し保健師の大幅増員を
コロナ禍は、日本の医療・福祉・公衆衛生の体制がいかに脆弱なものであったかを浮き彫りにしました。今、オミクロン株の感染が急拡大している「第6波」から住民のいのちを守るうえで、保健所の人員・体制の強化は喫緊の課題です。ところが、政府も京都府と京都市も、公衆衛生政策の抜本的強化をはかろうとはしていません。
保健所の減らしすぎが今日の事態を招く
保健所は、1990年代の地域保健法施行を契機とした効率化の押し付けや、「地方分権改革」による国の責任後退のなかで、その個所数は、1990年の850ヶ所から2020年には469ヶ所へ、ほぼ半減。職員数も、90年度の3・5万人から17年度2・8万人へと7千人も減らされています。京都では、府の保健所は12カ所から7ヶ所へ、京都市は11ヶ所から1ヶ所へ激減しています。
政府と府は小手先の対応に終始
しかし自公政権は、公衆衛生行政の抜本的強化を図ろうとはしていません。政府がコロナ禍で行ったことは、2020年8月に保健師、医師、看護師などの専門職を「人材バンク」に登録して、緊急時の人材派遣要請への対応です。
しかし、こうした人員(現在3000人が登録)の派遣は一時的・臨時的なもので、恒常的な職員増員ではありません。「第4波」「第5波」に対応するには“焼け石に水”だったという指摘もあります。
保健所の恒常的人員増について政府は、「保健所で感染症対策に従事する保健師数を1・5倍に増やす」方針を打ち出しましたが、その内実は、「感染症対応に従事する保健師」を、21年度450人、22年度に450人増やすというものです。保健所1ヶ所あたりにすると21年1人、22年1人増やす規模にすぎません。
西脇知事も、新年のあいさつで、保健所の統廃合を「メリットもあった」と言って、保健所体制強化に本格的に取り組もうとはしていません。
今必要なことは、迅速なワクチン接種、定期的な無料のPCR検査の拡大、医療機関への支援などと共に、保健所の運営費を国の責任で大幅に増やし、削減した保健所の個所数と職員の増へ本格的に踏み出すことです。
京都自治労連 第1984号(2022年2月5日発行)より