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機関紙 - あの人に会いたい19 就労支援事業所リフレかやの里 管理者 藤原 さゆりさん…中小企業振興基本条例のある与謝野町で農家や自治体と連携したまちづくり

あの人に会いたい19 就労支援事業所リフレかやの里 管理者 藤原 さゆりさん…中小企業振興基本条例のある与謝野町で農家や自治体と連携したまちづくり

カテゴリ : 
組合活動
 2022/2/7 10:10

ふじわら・さゆり=
1984年 無認可「峰山共同作業所」就職
1986年 社会福祉法人よさのうみ福祉会「みねやま作業所」移籍
2011年 〃「リフレかやの里」管理者


リフレかやの里の歩み

1998年旧加悦町が農水省の補助を受け、宿泊型保養施設として開設。運営は第三セクターから民間会社が指定管理に。2008年倒産。住民の強い再開の要望があり、町が再度指定管理者を募集。よさのうみ福祉会が指定を受け、2011年4月に障害者総合支援法に基づく多機能型の就労継続支援施設として事業認可を受け、町が改修工事を行い、同年10月にリニューアルオープン。


みんなで力あわせ誰もが主人公のまちを

与謝野町の「リフレかやの里」は、社会福祉法人よさのうみ福祉会が指定管理を受け、障害のある一人ひとりの暮らしを支えながら地域の農家や自治体などと連携した地域づくりをすすめています。管理者の藤原さゆりさんに、与謝野町の中小企業振興基本条例についても触れていただきお話を伺いました。

――リフレかやの里では、どのような事業をされていますか。コロナ感染拡大で、どのような影響が出ていますか。

藤原 障害のある人たちが働く就労継続支援事業には、A型とB型の二つの種類があります。リフレかやの里では、A型事業で地産地消のランチバイキングを楽しめるレストランや宿泊・入浴業に8人の障害のある人たちが働いています。レストランでは、最盛期には年間1400万円以上の地元食材を買い取り、地元経済にも貢献。レストラン、浴場、ホテルを合わせて地域の常連客を中心に、多い年には6万人が利用されてきました。A型事業に従事する障害者は雇用契約の対象となり、最低賃金が保障されています。

B型事業では、17人の障害のある人が働き、3つの事業を行っています。一つは農産物加工で、主に規格外農産物の加工を行っています。もう一つが、パン・ケーキ工房。もう一つが農業です。

農産物加工では、「委託加工」といって、農家から農産物を預かってジャムやドレッシング等の加工品にして農家にお返しし、それを、農家が自社ブランドとして道の駅やデパートなどで販売しています。農産物加工の9割が委託加工で、160軒ぐらいの農家と取引があり、与謝野町以外の京丹後市や他県とも取引をしています。扱う農産品は規格外が中心で、これまでは収穫しても捨てていたものがお金になるので大変喜ばれています。

そのようなこともあって、B型の賃金は、全国平均は月額1万2000円ですが、リフレは平均3万4000円払えており利用者の方は働き甲斐を感じることができています。

コロナ感染拡大は深刻で、A型事業(レストラン・浴場・ホテル)の売り上げが感染拡大以前の半分以下に落ちこんでおり、大変厳しい状況です。

――リフレかやの里の再開設から10年が経過しましたが、今、実感されていることはどの様なことですか。

藤原 一般的な障害者就労支援事業所は、住民にとって敷居が高く、障害者と触れ合う機会も少ないと思います。ここでは、お客さんから「おいしかったよ、また来るね」と声を掛けられ、農産物の加工でも、農家の方から「ありがとう、みんなが頑張ってくれるので助かる」と声を掛けていただいています。人から感謝され、喜ばれることが少ない人たちにとって、そういった経験が人を成長させるのを実感しています。本当に皆さん変わっていかれます。

また、住民の方にとっても、障害者との距離が近く、障害者の姿そのままを見て、関わっていただける場所、障害者の理解を広げられる場所です。

私たちが指定管理に手を挙げた時に、繰り返し話し合ったことは、「障害者だけではなく、地域全体の暮らしが良くならないと障害者の暮らしもよくならない。そのために私たちに何ができるのか」という観点を常に大切にするということです。先ほど紹介しました事業も、そのような観点に立って生まれてきた事業です。コロナ禍で経営は、大変厳しい状況です。福祉事業と経営の両立は本当に難しいですね。

――与謝野町の中小企業振興基本条例が注目を集めていますが、リフレかやの里にとっての意義はどのように感じておられますか。

藤原 今年の4月で、条例の施行から10年になります。与謝野町では、条例制定の議論に地元業者や農家の皆さんも積極的に参加されて活発な議論が繰り返し行われました。その場で、当時の太田貴美町長が「福祉も産業です」と明言されました。効果のない企業誘致政策に走るのでなく、高齢者施設や障害者施設で雇用が生まれ、需要も生まれます。私たちにとってもこの条例は、大変心強いものです。

この観点で、与謝野町には頑張ってもらっていると思います。2021年、コロナ感染が広がった時、「高齢者、障害者施設で働いている職員を対象」に一人1万円の慰労金を出していただきました。A型、B型を利用している利用者さんも対象となり1万円を頂きました。アルバイトの方もかなりの人が対象となりました。私はもう感動しました。そんな自治体が全国にあるでしょうか。ワクチン接種でも、職員も利用者も優先枠に入れてもらって比較的早い段階で接種することが出来ました。

私は、福祉で働く人たちが中小企業振興基本条例のことをもっと勉強し活かして、地域の人と連携をして、地域をよくするために動くことが必要だと思っています。

――国や自治体、職員への要望をお聞かせください。

藤原 田舎でも、一人で健康的に暮らすには最低でも月15万円必要です。障害2級の人の障害者年金は月額約6万6000円。B型の就労施設で働いても、ほとんどのところが月1万5千円程度です。北欧先進諸国のように、足らない分を国が保障すべきです。福祉施設の報酬改定が3年に一度ありますが、成果主義による加算ではなく、障害者が生きがいをもって働ける施設にするための改定こそが必要です。人間の価値を決めるのは、稼げるか稼げないかではないと思います。

自治体職員の皆さんと福祉職員の横のつながりを大切にしながら、障害者と住民の皆さんが安心して暮らせるまちづくりにこれからも頑張りたいと思います。


京都自治労連 第1984号(2022年2月5日発行)より

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