機関紙 - 震災復興の名を借りた国家公務員賃金10%引き下げ提案 〜道理なき暴挙許さない!緊急署名を急ごう!〜
政府は5月13日、「俸給・ボーナスの10%カットを基本として、国家公務員一般職の給与を引き下げる」「給与の引き下げについては、2013年度末までの時限的な措置とする」とした公務員賃金引き下げの方針を労働組合に提示しました。
この提案は、東日本大震災の支援・復興に不眠不休で全力をあげ、住民のいのちと生活を守り支える公務労働者の奮闘をふみにじるものであり断じて許されるものではありません。
職場、組合員の怒りを結集し、道理なき提案を撤回させる運動を広げましょう。
「国の財政事情」と言うが・・・
片山総務大臣は賃下げ理由として「国の財政事情」をあげたが、この間公務員賃金削減を強行してきたにも関わらず、国の財政赤字が増え続けてきた経過からも、人件費削減によって「国の財政事情」が好転することは考えられません。そもそも賃下げがどの程度の歳出削減となり、財政事情がどう改善されるのか等、将来の展望も含めて10%カットの根拠が全く示されておらず、復興財源の確保を口実にした提案であることは明らかです。また、10%カット提案にあわせて、地方公務員の給与に充てる地方交付税を最大10%削減する方針を財務省が固めたとの報道も行われています。
国民犠牲による復興はありえない
京都自治労連は、公務員賃金1割削減に反対し、提案の撤回を求めます。
反対の理由として、第1に、震災復興のため公務労働者の役割発揮が求められている点です。そもそも復興財源は公務員賃金削減で確保できる金額とは桁違いです。不眠不休で奮闘する被災地の公務労働者をはじめ、全国各地からも公務労働者が支援に入り全力をあげています。被災地の復興に全力をあげることが公務労働者としての貢献のあり方であり、景気回復に水をさす「賃下げ」を認めることが貢献につながるとは考えません。
第2に、人事院勧告制度、労働基本権はく奪のもとでの1割削減が憲法違反である点です。今回の提案は憲法を踏みにじる「異例の措置」であり、認めることはできません。一方的な権利侵害、労働条件の引き下げを認めることは公務員の問題に止まらず、日本国民全体の権利侵害にもつながります。
第3に、景気回復、震災復興に逆行し、GNPが0・9%のマイナス効果となる点です。公務員賃金1割削減は医療や福祉関係をはじめ、連動して賃下げとなる可能性がある民間労働者への影響、消費購買力への影響など、15兆円を超えるマイナス効果の試算が出され、税収も5千億円以上の減収となります。震災復興のためにも、消費拡大による景気回復が求められています。また、10%もの賃下げは私たちの生活そのものに及ぼす影響も計り知れません。
職場・組合員・地域の団結を
今、政府や経済団体は震災復興と称して、今回の公務員賃金1割削減をはじめ、復興税の創設や消費税増税、道州制の推進、規制緩和など新自由主義的な復興を次々と狙っています。しかし、復興は被災地本位で行われるべきであり、震災で落ち込んだ経済を立て直すためにも、労働者の賃金底上げや雇用の安定と確保が必要です。同時に、あらためて公務・公共サービスの重要性が明らかとなるもとで、人員確保などの拡充を求める運動も強化していく必要があります。
緊急で提起する職場決議や署名、抗議FAXに取り組み、職場から怒りの声を集めましょう。また、民間労組や諸団体へも取り組みの協力を働きかけ、街頭宣伝行動など幅広い国民世論の形成に力を尽くしましょう。
京都自治労連 第1752号(2011年5月20日発行)より