機関紙 - 大江分院は住民の命のとりで…機能変更・病床16削減は許さない…説明も声も聞かない市に怒りの声「3/19 大江町の医療を考えるつどい」
3月19日、福知山市大江町で、市立福知山市民病院大江分院の機能変更や16病床を削減する条例提案が行われている問題について、「大江町の医療を考えるつどい」が開催され34人の市民が参加しました。病床削減の背景にある国と京都府の医療政策や、その問題点を学び、分院を守る運動について熱心に議論が行われました。
福知山市の姿勢を厳しく批判
主催したのは「福知山の医療と福祉をよくする会」(代表:奥井正美福知山地労協議長)。奥井代表は、あいさつで「福知山市に、本日の集いで病床削減の説明を求めたが、応じてもらえなかった。住民に説明もなく、住民の命に関わる医療機関の在り方を変更するなどは許されない」と市の姿勢を厳しく批判しました。
つづいて、京都社保協政策委員の中村暁さんが、「大江分院病床削減の背景」と題してWebで講演。「会」の事務局の塩見正さん(京都医労連書記次長)が、福知山市がすすめる大江分院の機能変更と病床削減の問題点について報告を行いました。
病床削減理由は当てはまらない
塩見さんは、福知山市は「人口減少による利用率の低下」と「地域ニーズに合った病院づくり」を分院の機能変更と病床削減の理由としているが「全く当てはまらない」と述べて説明を行いました。
現在の大江分院の利用状況について、病床稼働率は、2018年:88・7%、19年:88・7%、20年:85・4%と、コロナ禍にあってもほぼ横ばいで、「類似病院」の利用率(66・6%〜66・1%)と比較しても大江分院は平均よりも相当高い利用であり、市が病床削減の理由としている「利用が減っている」ことは、理由にならないと指摘しました。
病床が16床削減される問題については、今の稼働病床は平均51床あり、新しい病床は52床しかなく、地元の住民が必要な時に入院が出来ない事態が起こると強調。
また、一般病床(40床)を廃止し地域包括ケア病床(24床)に変更する問題点については、入院患者は60日以内に7割〜7・25割が在宅に帰されることになり、これができる患者しか入院できなくなる。病院で患者の選別が行われると指摘。高齢者独居や高齢者のみ世帯が多いなか、病院の機能変更が「ニーズに合わせた」とは言い難いと批判しました。
大江分院の財政状況については、経常収支比率は103・0と「類似病院平均値」97・9を上回って黒字であり、財政的にも変更しなくても運営していけると強調しました。
つづいて、会場の参加者から「大江分院があるから安心して暮らせる」「高齢者が多く、利用しやすい分院を残してほしい」「地域ケアの拠点として充実を」など大江分院の役割や感謝の思いが次々と出されました。
集いは最後に、「大江の地域医療をよくする会」を結成し、明らかになった問題点を住民や全議員に知らせ、大江分院の機能変更と病床削減をストップさせる住民運動に取り組むことを確認し合いました。
京都自治労連 第1985号(2022年4月5日発行)より