機関紙 - 【公衆衛生】保健師のはたす役割 公衆衛生は暮らし支える要 保健師の仕事はまちづくり
精華町では、高齢化の課題に対して、「健康長寿のまちづくり せいか365(さんろくご)」と銘打って、全庁的な取り組みを行なっています。そのため、健康推進課、子育て支援課、高齢福祉課、ワクチン接種対策室、危機管理室に保健師が配置され活躍しています。今回は健康推進課の保健師のひとり、Bさんに保健師の仕事についてお話を聞きました。
健康格差をなくしたい
独自の事業を住民と一緒に
「精華町ではこんな事業をやっています」とBさんが見せてくれたのは、32ページもあるカレンダー。
中には、町内の医療機関の紹介や予防接種、健康診断の案内などと合わせて、健康ポイント事業やウォーキング、体操イベントなどのプロジェクトが紹介されています。生活習慣や食生活にかかわるクイズに答えたり、独自の歩数計アプリで一日の歩く量を測定したり、イベントに参加してポイントを貯めて、買い物や飲食のクーポンがもらえるなど、楽しみながら健康づくりに取り組める工夫がいっぱいです。保健師のみなさんの熱意が伝わります。
Bさんは危惧していることがあります。住民の中の「健康格差」の問題です。「格差をなくすには、健康でない層の底上げが重要です。格差の縮小が結果的に町全体の健康につながります。それをするのが自治体の保健師の役割だと思います」とBさん。
行政保健師の役割を知り目標・目的を忘れずに
Bさんはこの4月から成人保健係を担当しています。Bさんはがん検診や特定健診実施に向けて医師会や病院等と調整を行っています。プロジェクトなどの補助金申請など、事務作業にも追われています。新しい業務で、信頼している同僚や上司にサポートしてもらいながらがんばっています。
Bさんは学生時代、精華町で保健師実習をして保健師の仕事に興味をもち精華町に就職しました。
最初は、福祉課に配属され介護認定の業務にあたっていましたが、毎日毎日の業務に追われ、町の公衆衛生全体が見えなくなっていたとBさん。
ある日、ネットニュースで世界人口の増加が報道されているのを見て衝撃を受けたと話します。「日本では人口減少と高齢化が言われている時に世界では何が起きているのだろうと思い公衆衛生について、本格的に勉強を始めました」。その中で、地域で保健師の果たす役割やかかわり方が見えて、仕事にも張りが出てきたと振り返ります。
コロナ対応は本当に厳しかった
コロナ禍で、Bさんはワクチン接種対策室に異動。ワクチン接種のための会場手配、医師会・薬剤師会との打ち合わせや、設備・資材の発注に追われる毎日が続きました。国からのワクチン配布が遅れる中で、庁内各課からの問い合わせや住民からの電話対応にも苦労しました。土日も対応に追われ、残業は月180時間を超えました。「課員全員が病院や歯の治療にも行けないほどで、私は子どもの起きている顔を何ヶ月も見ることができなかったのが何よりつらかった」とBさんは振り返ります。
Bさんは「保健師は海外では『ソーシャル・ナース』と呼ばれ、コミュニティーに必要な存在とされています。行政に働く保健師の仕事は、健康を切り口にまちづくりをすることだと思いながら働いています」と語っていただきました。
京都自治労連 第1986号(2022年5月5日発行)より