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機関紙 - あの人に会いたい24 弁護士・河村 学さん…自治労連弁護団で会計年度任用職員制度を担当

あの人に会いたい24 弁護士・河村 学さん…自治労連弁護団で会計年度任用職員制度を担当

カテゴリ : 
組合活動
 2022/8/9 16:10

かわむら・まなぶ=
1969年生まれ。吹田市役所勤務を経て、1999年から弁護士登録(大阪弁護士会)。主に、非正規労働者の問題や保育問題に取り組む。
2009年から自治労連全国弁護団事務局として活動。
日本労働法学会会員、関西学院大学非常勤講師


 "誇りと怒り"を集めて
会計年度任用職員の処遇改善を

会計年度任用職員制度が始まって2年が経過しました。しかし、賃金・労働条件の抜本的改善とはほど遠く、雇用不安から解消されることはありません。自治労連は今、「誇りと怒りの"3Tアクション"」運動に取り組んでいます。自治労連弁護団で会計年度任用職員制度の問題を主に担当してる河村学弁護士にお話を伺い、制度の現状や今後の取り組みについて語っていただきました。

――会計年度任用職員制度が始まって2年が経過しました。この制度の下で、当該職員の置かれている現状はどの様になっているのでしょうか

会計年度任用職員制度導入によって、非常勤職員の手当や処遇の改善につながると宣伝されていましたが、現状としては、一定の処遇改善がされたというところもありますが、状況は変わらない、又は逆に賃金が下がったというところも出ているのが実態です。

2020年12月に総務省が実態調査を行っていますがその中でも、フルタイムだった人がパートに置きかえられている、期末手当が支給されるようになったが、その分時給が減らされているなどの実態が報告されています。

こうした実態を受けて総務省は、「会計年度任用職員制度の適正な運用等について」との通知を何度か出していますが、なかなか改善されていません。

また、公務非正規女性全国ネットワーク「はむねっと」という団体がアンケートに取り組んでいますが、その中では、「三人に一人が主たる生計者」「年収200万未満の人が全体の5割弱」との結果が報告され、将来の不安では、「更新時に雇止めされるかもしれない不安から、メンタルの不調がある」「長期に働いていた人も更新されない」など会計年度任用職員の悲痛な声が紹介されています。

さらに、この制度は、今年度末で導入から3年になります。多くの自治体が、3年経つと公募による採用を実施するとしているため、非常勤職員を含め長期間就労してきた人も雇止めに遭うのではないか危惧されます。

――民間の非正規労働者に設けられている制度が、公務には適用されないと聞きますが、どのようなことでしょうか 

いわゆる正社員と、有期・パート、派遣で働く非正規労働者との処遇格差については、それがワーキングプアや子どもの貧困などにもつながっているとして社会問題化し、労働組合も含め社会運動が高揚する中で新しい制度を勝ち取りました。

その一つが、2012年の労働契約法18条により創設された有期雇用から無期雇用への契約転換制度です。有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合、その労働者から申し込みがあれば、期間の定めのない無期雇用契約に転換するルールを企業に義務付けました。5年という期間は長いですが、雇止めの危険から解放され、雇用の安定を図ることができるので一歩前進と言えます。以前から存在していた雇止めを制限する規制(同法19条)とあいまって雇用の安定が図られるようになっています。

もう一つは、労働契約法20条(現在はパート・有期法8条、9条で規制されています)で、正社員と有期契約社員の労働条件を比較して、不合理な格差を設けてはならないという規制です。この規制に違反しているとして、いくつもの裁判が提起され、例えば、日本郵便の契約社員らが争った裁判では、最高裁で扶養手当や年末年始手当、夏期冬期休暇、住居手当などを支給しないことは不合理だとする画期的判決が勝ち取られました。最高裁が、非正規労働者に公正な処遇が行われていないことを正面から認め、損害賠償という形ではあるにせよ、その救済を図ったというのは戦後初めてのことです。

しかし、これらの法規制は、公務員には適用除外とされています。国・自治体はこのような制度がなくても適切な運用がなされるものと考えられているようですが、実態としては先ほどのとおり、「規制がないから行わなくていい」という姿勢でひどい運用を続けているのです。その結果、会計年度任用職員は、何年たっても有期雇用のままだし、いつでも雇止めされる不安を抱えながら就労しなければなりません。また、正職員との処遇格差を埋める法的規制がないので、自治体は会計年度任用職員の処遇を不公正なままにしておくことができてしまっています。しかも、会計年度任用職員は一般職公務員と位置づけられたため、従前の特別職非常勤職員のように労働委員会を活用して争うこともできなくなりました。

会計年度任用職員は、法的に言えば、日本で最も権利が剥奪され、虐げられた労働者と言えるのではないでしょうか。

――会計年度任用職員の処遇改善をすすめる労働組合の役割について

今、国が進めているのは、自治体のDX化であり、公務の民営化、公務の切り捨てです。その過渡期的存在として会計年度任用職員制度を導入して、首を切りやすく、問題があっても裁判に訴えられにくい、争えない制度を導入したと言えます。

政府・財界の攻撃は、一番弱いところに攻撃を仕掛けて、分断を図り、切り捨てるのが特徴です。ですから今求められているのは、正規職員も含めて労働組合として会計年度任用職員の雇用継続や処遇改善を組合の重点課題として取り組むことです。

紹介しましたように、裁判でたたかいにくい制度になっていますから、労働組合を大きくし職場でたたかう力を強くして、最終的には政治的に決着をつけることで解決を図ることが必要ではないでしょうか。

私は、弁護士として公務や民間の非正規労働者の裁判にもいくつか関わってきました。そのたびに「消えることのない雇用不安、同じ仕事をしても3分の1の賃金」「虐げられた労働者の声を聞こうとしない裁判所」こんな理不尽を許すことはできないという怒りがわいてきます。それこそ、"誇りと怒り"です。

会計年度任用職員の皆さん、労働組合の皆さんと力を合わせて、会計年度任用職員の雇用を守り処遇改善をすすめたいと思います。ご一緒に頑張りましょう。


京都自治労連 第1989号(2022年8月5日発行)より

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