機関紙 - 第4回 タッちゃんが訪ねるふるさと再生 〜市民は地域の専門家 「まちづくり」は市民参加で〜
タッちゃんが行く第4回は、国土問題研究会事務局長の中川学さん(府職労連)を訪ねて、ふるさと再生の基本となる住民の立場に立った災害復興・開発についてお話を伺った。中川さんは、国土研の一員として東日本大震災一ヵ月後の4月17日に被災地へ調査に。職場での報告会には60人近くの職員の参加があった。
実は中川さん、陸前高田市との関係は深い。同市内を流れる気仙川の上流に津付ダム建設計画があり、建設に反対する市民運動の依頼で、2003年に10回近く調査に訪れ、“ダムは不要”との報告書をまとめている。03年11月、初めてサケの遡上に感動した気仙川を、今回はいまわしい津波が遡上したわけである。
“創造的復興”に危惧
今回、その陸前高田市の変わり果てた状態にショックを受けた。
中川さんは、政府が『創造的復興』をキャッチフレーズに復興を進めようとしているが、神戸と同じことがやられるのではないかと危惧する。「阪神淡路でも、建物が破壊され、住民がいなくなった更地に、ハコ物が建てられ、更地がハコ物で覆われた。『手回しよく計画立てた。さすが役所や』と思ったら、何のことはない、今まで住民が反対してできなかった計画を、火事場ドロボウのように持ってきただけのものだった。しかも、それが成功したかというと成功していない。神戸空港はその典型。多くのハコ物事業は失敗し、さびれたまちに住民だけが残された」という。
復興に当たって求められるものは、「住民参加による計画づくりでなければならない」と中川さんは指摘する。
まちづくりは人づくり
中川さんが、このような問題意識をもったきっかけは、「出町の三角州」と呼ばれて市民から親しまれている広場の再整備計画作成のとりくみ(98年〜99年)で、地元商店街が参加したことにより、熱気あふれるものとなった。今では、大勢の若者や家族連れが憩いの場として利用、休日は大変な賑わいとなっている。
「住民が主人公のまちづくりに住民参加が必須であることは、自明のことである。まちづくりは人づくり、人づくりはコミュニティづくり。“素人は黙っておけ”ではダメ、市民参加でやるべき」と中川さん。
「市民は地域の専門家」の言葉に、ふるさと再生への大切なものを得た。
京都自治労連 第1753号(2011年6月5日発行)より