機関紙 - 【看護師】病院職場の課題 患者さんに寄り添った看護をしていきたい…大幅増員と職場環境の改善が急務です
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「2類相当」から「5類」へ引き下がります。病院職場では引き続きの感染対策が求められています。少しだけ落ち着いてきた病院職場ですが、仕事の多忙さは変わりません。
今回は、京都市立病院の看護師、Dさんに普段の仕事の様子、夜勤を伴う交代勤務についてお話をお聞きしました。
分単位の仕事で緊張も
ペアで声を掛け合って
病棟勤務のDさんの仕事は、30分ほどの打ち合わせのあと、看護師2人ペアでの看護が始まります。担当の患者さんは10人前後。全員の検温と、その記録、先にたてた治療・看護計画をすすめていきます。患者さんの様々な状態や訴えを聞きながら、緊急を要すもの、あとでフォローできるものなどを判断していかなければなりません。2人で介助しなければならない場合や、ひとりでできるものなど、声を掛け合って看護します。同時に記録も取っていきます。分単位の仕事です。患者さんごとの薬の仕分け、書類作成もあります。この間にも、ナースコールや緊急の入院受け入れ、手術の準備などに対応していきます。
午後には、病棟全体で患者さんの状況確認や看護計画の見直しなど情報共有の打ち合わせを行い、看護計画をすすめます。「やってもやっても終わらない…」深いため息のあと「『休み時間はきちんとろう』とみんなで声を掛け合っています」とDさん。「緊張と多忙が続くとミスが出てしまいます。また、業務が多くてどうしても『作業をこなす』になってしまいます。もっと患者さんに寄り添った看護をしていきたい」と自分に言い聞かせるように話します。
3交代制から2交代制に
長時間過密労働は変わらない
Dさんの病棟は変則の2交代勤務です。通常の朝8時30から夕方5時15分までの勤務に加え、朝8時30分から夜9時30分までの「長日勤」と、夜8時30分から翌朝9時15分までの「長夜勤」があります。「以前は3交代勤務だったため、日勤後帰宅し数時間後には夜勤に行くというシフトの繰り返し。1年中倦怠感がある状態でした。それに比べると勤務間インターバルはあります」「長日勤は日勤帯の忙しい時間の勤務が長くなり疲労感は大きい。さらに、長夜勤は長時間の夜勤後、日中に眠るのですが、昼間の睡眠は夜間よりも質が劣る上に、家庭生活との両立で十分に睡眠時間が確保できず、休まらない事も多いです」と長時間勤務の実態を話します。
これらの長日勤、長夜勤を合わせて月に8回から9回こなさなければなりません。当然、土日祝日は関係ありません。市立病院の労働組合は病院と夜勤協約を結んでおり、3交代は月9回以内、2交代は月5回以内としています。
みんなの組合加入でいい職場にしよう
Dさんには双子の小学生の子どもがいます。出産のときは早産で長期の入院を経験しました。「入院中の痛みや不安の中で、担当の看護師が多忙にもかかわらず声を掛け続けてくれたのがうれしかった」とDさん。看護師の仕事の大切さを再確認した瞬間でした。また「子どもとの時間をもっと持ちたい」と育児にも奮闘中です。
「患者さんに寄り添った看護をしたい。安心して子育てができ、ここで長く働き続けたい」との思いから、Dさんは組合の役員を引き受け、現在は、支部の書記長を担っています。看護師の大幅増員と働き続けられる労働条件は喫緊の課題です。職場・勤務環境の整備と充実が課題克服につながるとDさんは考えています。「みんなに組合に入ってもらって、いい職場にしましょう」と、新規採用のみなさんにもエールを送ります。
勤務間インターバル
「勤務間インターバル」は、勤務終了後、一定時間以上の「休息時間」を設けることで、働く人の生活時間や睡眠時間を確保するもの。民間では、働き方改革関連法で、前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保することが事業主の努力義務として規定されました。努力義務にとどまっている点や公務には適用されないなど、改善すべき課題があります。
京都自治労連 第1998号(2023年5月5日発行)より