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機関紙 - あの人に会いたい29 元神戸松蔭女子学院大学教授 中林  浩さん…排除ではなく、政策づくりに市民の参加を

あの人に会いたい29 元神戸松蔭女子学院大学教授 中林  浩さん…排除ではなく、政策づくりに市民の参加を

カテゴリ : 
組合活動
 2023/5/5 9:10

なかばやし・ひろし=
1953年愛知県生まれ。
京都大学大学院博士課程修了、博士(工学)、景観論や都市計画史を専攻する。
2008年まで平安女学院大学教授、2021年まで神戸松蔭女子学院大学教授。
京都まちづくり市民会議・新建築家技術者集団・自治体問題研究所・NPO西山夘三記念すまいなどを活動の場とする。
近年の主な著作、「迷走する京都―ポストコロナの観光をめぐって」『世界』(2021年10月号)、『学校の統廃合を超えて』(共著、自治体研究社、2022年)。


京都を疲弊させる高さ規制緩和
新景観政策を生かすまちづくりを

京都市は昨年11月27日、都市計画の見直し案(規制緩和)を発表しました。計画案では、「人口減少に歯止めをかける」ためだと建物の高さ規制の見直しを含めた提案を行い、4月25日から実施されています。今後の京都の景観だけではなく、経済や市民の暮らしに大きな影響を及ぼす見直しです。まちづくり研究者で、京都のまちづくりに様々な提案をされてきた中林浩さんにお話を伺いました。

――京都市の人口が減っていると言われますが、実際はどうですか

実は、京都市の人口は、50年間のスパンで見るとほぼ横ばいです。ところが、2021年1月と2022年1月の住民基本台帳による人口減少1万2千人が「日本一の減少」とマスコミも大きく報道しました。しかしこの減少には、大学都市京都の特殊性があります。

新型コロナ感染症が大流行し、授業がオンラインで行われた影響が大きく、コロナが一定落ち着き、大学の対面式授業が再開され始めると人口は戻ってきています。今回の人口減少は、コロナ感染拡大と密接な関係があるといえます。

人口の増減を、地域ごとに見ると新景観政策で高さ規制を厳しくした上京区・中京区・下京区・南区では2000年から増加しています。減少しているのは郊外の高層集合住宅で構成される、洛西ニュータウンや向島ニュータウンです。

京都市が言う「高さ規制で高層マンションが建てられないので人口が増やせない」は、全く事実に反しています。確信犯的と言わざるを得ません。

京都市から若者が流失する大きな要因は、ホテル建設ラッシュによる地価高騰や、子育て施策の貧困、保育予算の大幅カットなど子育てしにくいまちだからです。

また、京都市が言うように、高い建物(高層マンション)が建てば若者が定着するでしょうか。タワーマンションは高価すぎて若者には手が出ません。オフィス不足の解消とも言いますが、果たしてそれだけ経済のポテンシャルがあるのでしょうか。

――今回の都市計画の見直しの問題点を把握するために、2007年の京都市新景観政策の意義の理解が必要と思いますが

京都のまちづくりと景観を守る大きな論争は、1986年の西武プリンスホテル建設問題あたりから始まりました。その中において、2007年に始まった新景観政策は大変重要な意義を持ったものです。2004年に国の景観法が成立し、その影響を受ける内容となっていますが、全体として新景観政策は、京都・まちづくり市民会議やまちづくり運動が主張し発表していた構想や提案にきわめて近い内容です。まちづくり運動がこの政策を押しあげたといえます。

まちづくり運動の主張は、京都市全域全体の構成を保全することでした。

一般的な中心部居住地 10m(2階建)、商業機能の強い地区 14m(4階建)、幹線街路沿い 20m(6階建)、幹線街路ですでにスカイラインがそろいつつある地区 31m(オフィスで9階建・マンションで11階建)が妥当な建築の高さだとしていました。これらが新景観政策に取り入れられました。

また、都心居住地西部(西ノ京・壬生・西七条)など、かならずしも伝統的建造物は多くないが、低層高密の市街地を維持してきたところが、従来美観地区ではなかったのですが、新法で美観地区にあたる景観地区となりました。景観地区は、建設にあたっては市長の認定を必要とするきわめて重要な場所です。

今回の見直しは、住民運動の成果を多分に取り入れたこの新景観政策を踏みにじるものです。と同時に、景観地区にはあまり手を付けていないなど、新景観政策が意識されてもいます。

――新景観政策を、後退させる規制緩和の具体例をお話しください

とりわけ新景観政策を後退させるのは次の点です。

西院駅西南部の一帯の高さ規制を20m・25mから31mにしようとしています。現在は、市民が中低層で密度高く住んでおられます。高さ規制をきびしくした方が、密度ある居住地ができると思います。高さ規制をゆるめると、土地が荒れ中低層の住宅は住みにくくなり、空き地や駐車場が増えたりします。中低層高密がもっとも合理的な姿です。

市の提案で特に問題なのは、山科の外環沿道や向日市境で超高層ビルが建つようにしようとしていることです。高度地区を無指定としています。京都市域にタワーマンションの建つ条件を作り出そうとしています。

――若い人たちにとって魅力的で住みよいまちは

私たちが学ぶ必要があると思うのはイギリスです。イギリスは、1960年代から70年代にかけて構造不況、失業、犯罪多発、地域の荒廃などが顕著になりイギリス病と言われました。1990年代ごろから、改善の取り組みが始まり、運河の美化や土壌汚染地を森に変え、小学校を中心とした地域づくりなどが始まりました。この運動を飛躍させたのが、1997年の労働党ブレア政権です。

ブレア政権は、社会的排除を克服することを最重点課題としました。つまり政策に参加する市民を広げることが、もっとも効率的な方法だと気づいたのです。バーミンガム市は、工業都市でイギリス病の典型のような都市でしたが、貧困者・高齢者・移民の積極的な社会参加策を展開。建物の高さ規制を強化した再開発を行い経済も好調となり、同市の再生は「イギリスの奇跡」と呼ばれました。

――自治体と職員への要望をお聞かせください

イギリスの経験でも触れましたが、まちづくりに市民の声を反映する政策づくりへの転換です。これまで多くの市民が、京都市のまちづくりに様々な意見や政策提言を行ってきました。しかし京都市の態度は、これらの意見に真摯に向きあってきたとは言えません。市民の声を聞こうとしない自治体に発展はありません。

また自治体労働組合が、政策的イニシアチブを発揮されることを期待します。


京都自治労連 第1998号(2023年5月5日発行)より

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