機関紙 - 能登被災地の復旧へ京都の仲間が大奮闘!あらゆるものが足りない 支援の強化が必要
1月1日の能登半島地震発生から1ヶ月が経ちました。多くの尊い命が奪われ、家屋や道路などの被害も甚大なものとなり、被災者が置かれている環境は非常に厳しいものがあります。こうした中で、京都府内の自治体からも被災地支援のために職員の派遣が始まっています。支援のために派遣された2人の組合員の方にお話をお聞きしました。
危険の赤に染まる住宅地図
「帰る家がない」自治体職員
宇治市職労 Aさん
宇治市は、被災地に職員の派遣を始めています。1月14日から16日まで2人の建築技師を被災地の珠洲市に派遣しました。Aさんは、そのうちのひとりです。
襲われた正月の家族団らん
2人は、珠洲市にある土木事務所を拠点に、建物が応急的に使用できる状態か、できないかという判断をする応急危険度判定士を支援する業務を担いました。
Aさんたちは、判定士が安全に仕事をできるか、割り当てられた地域を調査に行きました。「場所によって被害の違いはありますが、多くの家屋が倒壊または一階がつぶれた状態。海岸に近いところは、さらに津波が襲いすさまじい被害でした。破壊された他府県ナンバーの車もたくさんあり、正月の家族団らんが襲われ、犠牲になられたのかと立ち尽くしました」と言います。
判定調査は、2人1組で10組から12組であたります。戻ってこられた判定士の結果は、多くが「危険」で使用できないもので、住宅地図が赤く染まっていきました。
国の迅速な対応が必要
Aさんは、「現地では電気は復旧していますが、それ以外のライフラインは復旧しておらず、マンパワーはもちろん、トイレやお風呂、洗濯、食料など物資が不足しており、全国的な支援とともに、何といっても国の迅速な対応が必要」と言います。
昼間は仕事で使用する土木事務所は、夜は机を片付けて、派遣された支援者や土木事務所職員の宿泊の場となっています。廊下ですれ違った土木事務所の方が「仕事が終わっても帰る家がない」と話されているのを耳にして、自らも被災しながら復旧の仕事にあたる自治体職員の困難をAさんは実感しました。
上下水道の復旧、
地域の「なりわい」支援が急務
京都市職労 Bさん
被災自治体支援で、京都市から行政職10人が七尾市に入りました。そのうち2人は地元自治体との調整や状況報告などに動く連絡係に、2人は自治会館に、6人が避難所になっている小学校に配置されました。
今回お話をお聞きした北区役所保険年金課のBさんは「現地は相当疲弊しており、マンパワーも足りていない状況でした」と到着した時の様子を話します。
Bさんは、早速、避難者の体調確認や避難所の交通整理、避難者への案内、支援物資の搬入から在庫管理、企業の提供で設置された設備の消耗品の補充等、避難所の運営補助として七尾市の職員や地元の方々と連携してチームで分担しながら必要なことは何でもしました。
受け入れが一段落した後は、避難者の衛生面を考慮して、土足利用していた施設を土足厳禁にするための清掃・消毒を日本赤十字社や地元病院の職員と一緒に行いました。また、避難所となっている同じ小学校で寝泊りしましたが、七尾市の職員は交代での勤務体制だったので、夜間は京都市の職員が施設内の巡回・警備も行いました。
避難者の話に耳かたむけ
「その時その場の状況に応じた臨機応変な対応が求められていました」「かつて組合が開催した『岩手フィールドワーク』に参加し、そこで得た知識や経験を能登の方々と共有することで、災害対応に活かすことができました」と今回の支援を振り返ります。
「避難されている方々は、大変な状況の中でも文句を言ったり騒いだりする方もなく、気丈に振舞われていました」。しかし、多くの避難者と話す中で、「地元で働いている方が多く、地域産業の崩壊や収入の道がたたれたことによる将来の不安が大きい」とBさん。上下水道の早期復旧と共に、地域の「なりわい」支援、雇用支援が急務だとBさんは感じています。
京都自治労連 第2007号(2024年2月5日発行)より