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機関紙 - 【農業】他分野の連携と安定した運営 広い視野で農業振興の施策を行いたい…農家が安全に安心して営める環境づくり

【農業】他分野の連携と安定した運営 広い視野で農業振興の施策を行いたい…農家が安全に安心して営める環境づくり

カテゴリ : 
組合活動
 2024/11/8 10:30

京都府は南北に長く、北部は日本海に面し、中部は山間、南部は平野と、地形も気候も様々です。そんな中での京都府の農業振興はハード面・ソフト面ともに多岐にわたります。今回の仕事紹介は、京都府に農業技師として就職して11年目になるAさんに、今の仕事と農業振興への思いをお聞きしました。

地域、現場の声を大切にしたい

「いまは土地利用作物(米、麦、豆など)以外の支援と補助金事務を行っています」と話すAさん。南丹広域振興局の農商工連携・推進課で農家の機械購入・施設建設の補助金、有機農業や化学肥料などを低減した農業推進に向けた補助金など環境課題に対する支援も行っています。

最近では、亀岡市の有機農業の取り組みや南丹市のバイオエコロジーセンターでの農業用液肥利用促進などにも関わっています。「対象は個人の農家から、企業、自治体まで幅が広いです」「国の施策(補助金)が入りますから、計画前の段階から相談を受けたりアドバイスを求められます」とAさん。これまでの事例や専門知識を活かして、一緒に事業が成功するように、担当者としてかかわっていきます。補助金を「出す・出さない」だけではなく、その事業が成功し軌道に乗ることが大事だと考え、そのためにも施策(補助金)が地域や現場に必要なものでなければならないと話します。

農業課題の克服にトライ&エラーで

京都府に限らず農業の大きな課題は農業従事者の高齢化と後継者不足です。Aさんはこれまで、園部の農業改良普及センターで水稲栽培などの指導を、京都府庁に異動して府全体の補助金事業の立案、施策を行ってきました。その経験を通して感じたことは、農家が安定して事業を継続できること、安定して収入が得られることが大事と考えています。「当たり前の事ですが、気候変化だけでなく、消費者が求めるものの変化、流通、耕作地周辺の環境変化など、様々な要因が農家の経営を圧迫していると思います」とAさん。例えば、これまで長年作ってきた作物が物価の変化に対応した値段で売れない、これまでと同じように栽培方法が耕作地周辺の変化でできないなどです。

このような地域課題克服に、各地の振興局独自の取り組みがあります。Aさんの所属する南丹広域振興局では、3年スパンで、特産物の振興を、農業だけでなく商業、観光業などを巻き込んで支援しています。「昨年までは『そば』でした」とおもむろにパンフレットを取り出すAさん。「そば」の栽培はこの地域の気候に適し、上質のものが作られるのですが、農家が単純に製粉会社に卸しても生産コストに見合う収益は得られません。そこで、地域のお蕎麦屋さんに直接卸して使ってもらい、そのお蕎麦屋さんを観光マップで宣伝したり、そば粉を使ったお菓子などを開発し地域の菓子店や道の駅で販売するなど、農業、商業、観光業を連携させ、販路と需要拡大を目指します。「局内それぞれの担当が連携して進めます。やりがいありますよ」。それでも、予算や人員に限りがあり、自分自身も担当の事務処理に追われてしまうと言います。

視野を広く持つ学習も大事

Aさんは、担当している有機肥料散布の促進ひとつをとっても、農家の作業方法や肥料の流通、耕作地周辺に住む住民への配慮など様々な方面からの検証が必要だといいます。「一例ですが、農家からすれば、これまで毎年同じように肥料を撒いていたが効果が出ない、住民から匂いやホコリで苦情が出たということもあります。解決には多方面からの検証や目線・視野、そして専門分野の学習と経験が必要なんです」と笑います。

Aさんは10月に自治労連が他団体と共同開催した「地方自治研究全国集会」に参加し、農業課題の分科会で自分が関わっている亀岡市の有機農業推進の取り組みをレポートにして報告しました。「やはり学習と全国の取り組みなどを知ることは大切だと思いました」と参加のきっかけを話します。何より、誰のための施策なのか、大きく言えば、誰のために働くのかを自分のなかにきちんと持って、公務の仕事の魅力を追求したいと、自らに言い聞かせるように話してくれました。


京都自治労連 第2016号(2024年11月5日発行)より

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