機関紙 - 福祉国家型地方自治と公務労働(二宮厚美教授・田中章史氏共著)
情勢にかみあった豊かな実践活動を通じた好著
2009年8月まで自治労連副中央執行委員長として地方自治研究活動を中心に活躍された田中章史さんが、神戸大学教授で公務労働の実践的な研究と自治労連へのアドバイスを続けていただいている二宮厚美先生と共著で「福祉国家型地方自治と公務労働」を発刊されました。
前執行委員長の山村隆氏に書評を寄せていただきました。
いま東日本大震災からの復興をめぐって、地方自治の果たす役割と復興のあり方が国民的な課題になっている。被災時に住民の命を救うために自らの命をかけた自治体労働者。自らの被災を顧みず今も不眠不休で復興に働く自治体労働者。
彼らの姿こそ自治体とは何か、自治体労働者とは何かについて語っているのではないかと思う。そういう思いが強まるほどに、震災復興と原発事故の対応、これからの政策方向についての政府や一部野党の議論、財界の言い分に腹が立ってしょうがない。明らかに災害を拡大した地域格差の拡大や、不安と健康被害を拡大する原発対策、住民自治をないがしろにする新自由主義的な地域復興計画案などなどである。
いまこそ、住民主体・地域が主体の震災復興、いや日本の再生を行わなければならず、自治体労働者の果たす役割と責任は大きい。
本書は日本の将来にむけて、いま地方自治がどのように尊重され擁護され発展されるべきか、豊かな現場での実践活動を通じた分析とあらためて憲法を羅針盤とする発展方向を示している。この時期にまことに的を得た出版になったのでないかと思う。
京都自治労連の組合員・単組役員のみなさんや政策研究、自治研担当者にぜひ一読いただきたい本である。
本書の購入は京都自治労連まで。
京都自治労連 第1757号(2011年8月5日発行)より