機関紙 - 司書のイチオシ(4)乱反射 (貫井徳郎/著 朝日新聞出版/出版)
2歳の子どもが事故に巻き込まれ父親がその罪が誰にあるかを突き止めようとしますが、決定的な人物を特定することができません。腰痛のため糞を拾わないまま犬を散歩させている老人、時間短縮のため風邪の症状でも夜間救急を使う大学生。自分一人がこれくらいのことをしたって構わない、そんな身勝手なモラル違反。これらの連鎖で事故は起きてしまったのでしょうか。
「乱反射」とは物理の用語で、光線が表面のなめらかでない物体にあたって種々の方向に反射すること。日常生活はまさに「乱反射」のように様々な事柄が飛び交っています。何の因果関係もなく起こる出来事を私たちは"偶然""奇跡"そして"不運"などと言いますが本当にそうなのか、自分のふとした行動の"その先"を考えさせられる1冊です。
京都自治労連 第2021号(2025年4月5日発行)より