機関紙 - 大震災 明らかになった地方自治体病院の役割 地域医療守る共同を 〜2011自治体病院キャラバン〜
京都自治労連医療部会と京都医労連が共同で毎年取り組んでいる「自治体病院キャラバン」が7月21日、26日、27日に行われました。今年のキャラバンは地域医療を守ることの意義を共有するとともに、東日本大震災による被災者救援と復興に向けた対策強化、災害時医療対策の充実、原発災害から住民を守る対策の強化を確認しあうキャラバンとなりました。
懇談では、「診療報酬改定で、昨年0・19%上がったが、これまでのマイナス7%の引き下げには及ばない。せめて元に戻すべき。中小の医療機関は持たない」「ガイドラインは絵に描いた餅、なぜいまも生きているのか不思議」など政府の医療政策に厳しい意見が相次ぎました。
医師・看護師不足問題では、「整形外科医が不足している」「内科医が…」「常勤の麻酔科医が1年不在だった」など多くの医療機関で深刻な実態が出されるとともに、各医療機関が大変な努力をして医師の確保に奮闘されている事も語られました。この問題では、この間の私たちの運動や自治体・医療機関の大きな声もあり、国の予算措置にもとづいて京都府が今年度に設立した深刻な医師不足の地域に医師を紹介する『京都府地域医療支援センター』に「実効あるものに」と意見が出されました。
看護師不足問題では、「7対1看護の維持が大変」「激しい看護婦争奪戦が起こっている」など、どの医療機関でも厳しい現状が出されました。また、「夜間看護手当を500円アップした」「高校生の看護職場の体験を行っている」などの確保対策とともに、少なくない看護職場での「2交替制」の導入が試行も含め実施されている事が報告され、労働組合として「2交替制」問題の取り組みの必要性も明らかとなりました。
災害医療・被曝医療対策では、病院の建物が古くなっている医療機関からは、「耐震補強が急がれるが、予算が無い」との悩みなどが出され、海岸沿いの医療機関からは、「高台に病院を移すべき」などの意見が出されました。被曝医療対策では、「府から被曝医療機関に指定されたが、具体的には何も指示が無い」など、府の支持を待っている状態。こうした中で「病院独自に職員を対象に被曝医療についての学習会を行った」(京丹波町立病院)など積極的対策を行っている話も聞く事が出来ました。
医療部会では懇談で出された意見をもとに、政府と府に対して診療報酬の引上げや交付税措置の充実、医師・看護師増員などを求めるとしています。
京都自治労連 第1758号(2011年8月20日発行)より