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機関紙 - タッチャンが訪ねるふるさと再生 第10回(最終回):伝統文化を守る 岩滝大名行列

タッチャンが訪ねるふるさと再生 第10回(最終回):伝統文化を守る 岩滝大名行列

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組合活動
 2011/12/14 11:10

代々守り伝えられてきた伝統や文化が市町村合併で、少なくない地域で消滅の危機に瀕しているものがある。それは、故郷への愛情の危機でもある。こうした危機を乗り越える取り組みが、与謝野町岩滝で行われた。11月13日の「岩滝大名行列」である。総勢300人による豪華絢爛な時代絵巻が繰り広げられ、2万人を超える観光客が訪れた。大名行列に、“奴さん”で出演した与謝野町岩滝在住で宮津市職書記の深田祐司さんを訪ねた。

岩滝大名行列は、歴史に忠実で「生きた文化財」といわれている。10時、行列が出発。まず、みんなを驚かせたのは、食料や荷物を運ぶ「駄荷」(だに)と呼ばれる人足が行列の先頭に登場したことだ。ひげもじゃの顔、汚れた衣装にふんどし姿、挙句の果てに酒を飲み博打を始める。リアリズムに富んだ岩滝大名行列ならではの演出だ。

華やかな行列が続き、深田さんは、立傘(たてがさ)の奴さんで登場。「ひぃーさぁーようーい」の掛け声に合わせピタッと動きが合う。9月から、毎週一回練習してきた成果が出る。

岩滝大名行列の起源は、江戸時代後期の天保6年、岩滝の豪商が大名行列の道具一式を出石藩から買い受けて、岩滝村へ寄贈したのが始まりで、以来176年にわたり継承されてきた。

歴史ある岩滝大名行列も、昭和35年から途絶えるが、何とか岩滝の文化を後世に引き継ぎたいと保存会が結成され平成3年に復活し、以後10年に一度の開催となる。

深田さんは、復活した最初の大名行列から参加しており、今回で3回目だ。

実は、10年に1度の開催も、今回は11年目となった。原因は、市町村合併で岩滝町が無くなり与謝野町となったことだ。合併した他の町でも、同様の行事がなくなっている。

こうした中で、「岩滝の文化、誇りを後世に継続したい」と保存会のみなさんの奮闘もあり、今回、与謝野町誕生5周年記念事業として復活した。

深田さんは、「今までだったら、一参加者だったが、今回初めて継承していく責任を感じた」という。そう感じたのは、深田さんだけではないだろう。合併という試練を乗り越え、後世に引き継ぐべき文化を守り継承することが、ふるさと再生につながるのではないだろうか。


京都自治労連 第1765号(2011年12月5日発行)より

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